分類不能な直腸未分化肉腫の1例

症例は57歳,女性.血便を主訴に受診し,直腸RS-Raに半周性の1型腫瘤を認めた.生検結果から直腸低分化型腺癌と診断し,腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した.切除標本では,腫瘍は粘膜側より発生し,病理組織学的に,壊死組織およびN/C比の高い多形な異型細胞を認めた.また,腫瘍はvimentin・Ki-67の免疫染色で陽性を示したが,上皮性マーカー・血球表面マーカーを含むその他の免疫染色マーカーは全て陰性であった.本腫瘍は間葉性マーカーのみ陽性で,腫瘍形態は未分化多形肉腫様であるが,軟部組織ではなく粘膜側を主座とした腫瘍と考えられた.そのため確定診断に難渋したが,最終的に粘膜上皮より発生した分類不...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 5; pp. 646 - 653
Main Authors 安田, 拓斗, 笠島, 裕明, 福岡, 達成, 田中, さやか, 澁谷, 雅常, 前田, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.646

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Summary:症例は57歳,女性.血便を主訴に受診し,直腸RS-Raに半周性の1型腫瘤を認めた.生検結果から直腸低分化型腺癌と診断し,腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した.切除標本では,腫瘍は粘膜側より発生し,病理組織学的に,壊死組織およびN/C比の高い多形な異型細胞を認めた.また,腫瘍はvimentin・Ki-67の免疫染色で陽性を示したが,上皮性マーカー・血球表面マーカーを含むその他の免疫染色マーカーは全て陰性であった.本腫瘍は間葉性マーカーのみ陽性で,腫瘍形態は未分化多形肉腫様であるが,軟部組織ではなく粘膜側を主座とした腫瘍と考えられた.そのため確定診断に難渋したが,最終的に粘膜上皮より発生した分類不能/未分化肉腫(未分化多形肉腫)と診断した.術後2年4カ月現在,再発や転移なく経過している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.646