上顎洞に発生した高分化型脂肪肉腫の 1 例
脂肪肉腫は四肢体幹に好発する悪性軟部腫瘍の一つである。頭頸部領域の発生は少なく、鼻副鼻腔領域ではさらにまれである。今回われわれは上顎洞に発生した高分化型脂肪肉腫の 1 例を経験したので、文献的考察を加え報告する。症例は 56 歳、男性。反復する鼻出血を主訴に近医を受診、左鼻腔内に出血を伴う腫瘤性病変を認め、当科紹介受診。初診時、鼻内視鏡検査で左中鼻道に易出血性の腫瘤性病変を認めた。顔面造影 CT で左上顎洞に骨破壊を伴い側頭下窩に突出し、不均一な造影効果のある腫瘤性病変を認めた。顔面単純 MRI では、T1 強調像で軽度高信号、T2 強調像で高信号を示す内部不均一な腫瘤性病変であった。生検で脂...
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| Published in | 耳鼻と臨床 Vol. 68; no. 4; pp. 284 - 290 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
耳鼻と臨床会
20.07.2022
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0447-7227 2185-1034 |
| DOI | 10.11334/jibi.68.4_284 |
Cover
| Summary: | 脂肪肉腫は四肢体幹に好発する悪性軟部腫瘍の一つである。頭頸部領域の発生は少なく、鼻副鼻腔領域ではさらにまれである。今回われわれは上顎洞に発生した高分化型脂肪肉腫の 1 例を経験したので、文献的考察を加え報告する。症例は 56 歳、男性。反復する鼻出血を主訴に近医を受診、左鼻腔内に出血を伴う腫瘤性病変を認め、当科紹介受診。初診時、鼻内視鏡検査で左中鼻道に易出血性の腫瘤性病変を認めた。顔面造影 CT で左上顎洞に骨破壊を伴い側頭下窩に突出し、不均一な造影効果のある腫瘤性病変を認めた。顔面単純 MRI では、T1 強調像で軽度高信号、T2 強調像で高信号を示す内部不均一な腫瘤性病変であった。生検で脂肪肉腫が疑われ、内視鏡下に遺残なく摘出し得た。病理学的検査で高分化型脂肪肉腫と診断された。術後出血等の合併症なく退院し、術後 6 カ月現在まで転移再発なく経過している。 |
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| ISSN: | 0447-7227 2185-1034 |
| DOI: | 10.11334/jibi.68.4_284 |