新生児に認めた上咽頭奇形腫の 1 例

奇形腫は内胚葉、外胚葉、中胚葉の三胚葉組織から構成される胚細胞由来の腫瘍である。性腺(精巣や卵巣)、縦隔、仙尾骨部が好発部位であり、耳鼻咽喉科領域での発生は比較的にまれである。今回われわれは、上咽頭下壁の左側領域に発生した成熟奇形腫の 1 例を経験した。症例は日齢 9 の女性新生児。出生後に酸素化の低下を来し、口腔内から腫瘍が確認されたことから、腫瘍による気道閉塞を来したことが原因と判断された。日齢 14 に、経口腔的および経鼻内視鏡的に腫瘍を切除した。術後の病理組織所見から、成熟奇形腫と診断された。奇形腫そのものの予後は良好なことが多いが、咽頭・鼻腔に発生したものは呼吸・栄養補給の障害となり...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in耳鼻と臨床 Vol. 70; no. 3; pp. 128 - 136
Main Authors 安倍, 大輔, 小池, 浩次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.70.3_128

Cover

More Information
Summary:奇形腫は内胚葉、外胚葉、中胚葉の三胚葉組織から構成される胚細胞由来の腫瘍である。性腺(精巣や卵巣)、縦隔、仙尾骨部が好発部位であり、耳鼻咽喉科領域での発生は比較的にまれである。今回われわれは、上咽頭下壁の左側領域に発生した成熟奇形腫の 1 例を経験した。症例は日齢 9 の女性新生児。出生後に酸素化の低下を来し、口腔内から腫瘍が確認されたことから、腫瘍による気道閉塞を来したことが原因と判断された。日齢 14 に、経口腔的および経鼻内視鏡的に腫瘍を切除した。術後の病理組織所見から、成熟奇形腫と診断された。奇形腫そのものの予後は良好なことが多いが、咽頭・鼻腔に発生したものは呼吸・栄養補給の障害となり得るため、早急な治療介入が必要と考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.70.3_128