難治性腹水を伴う自己免疫性肝炎患者に対して緩和治療としてLeFort中央腟閉鎖術を施行した2症例

高齢者の骨盤臓器脱に手術回避のためにペッサリー療法が選択されることが多いが、その治療効果にも限界がある。また増悪因子として、腹水貯留による腹腔内圧の上昇も報告されている。今回、難治性腹水を伴う自己免疫性肝炎、肝硬変を発症しペッサリー療法が困難となった骨盤臓器脱に対し、緩和治療としてLeFort中央腟閉鎖術を施行した2症例を報告する。症例1は81歳、G3P3。80歳より子宮脱stage3、膀胱瘤stage3に対してペッサリー療法をしていた。81歳で難治性腹水を指摘され、自己免疫性肝炎、肝硬変の診断となった。PSは0から3まで悪化し、通院困難で手術を希望された。余命は月単位と推定されたが、脊椎麻酔...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本女性骨盤底医学会誌 Vol. 20; no. 1; pp. 22 - 28
Main Authors 五十嵐, 敏雄, 馬場, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本女性骨盤底医学会 08.04.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2187-5669
2434-8996
DOI10.32310/jfpfm.20.1_22

Cover

More Information
Summary:高齢者の骨盤臓器脱に手術回避のためにペッサリー療法が選択されることが多いが、その治療効果にも限界がある。また増悪因子として、腹水貯留による腹腔内圧の上昇も報告されている。今回、難治性腹水を伴う自己免疫性肝炎、肝硬変を発症しペッサリー療法が困難となった骨盤臓器脱に対し、緩和治療としてLeFort中央腟閉鎖術を施行した2症例を報告する。症例1は81歳、G3P3。80歳より子宮脱stage3、膀胱瘤stage3に対してペッサリー療法をしていた。81歳で難治性腹水を指摘され、自己免疫性肝炎、肝硬変の診断となった。PSは0から3まで悪化し、通院困難で手術を希望された。余命は月単位と推定されたが、脊椎麻酔下に中央腟閉鎖術を施行した。術後PSは0まで改善したが、原病悪化にて2ヶ月後に死亡した。症例2は82歳、G3P3。81歳時に子宮脱stage3、膀胱瘤stage3を指摘された。同時に血小板減少と難治性腹水を認め、自己免疫性肝炎、肝硬変の診断でPSは2まで悪化していた。ペッサリーにて制御困難で手術を希望された。余命は月単位と推定されたが、血小板輸血後に全身麻酔にて中央腟閉鎖術を施行した。術後PSは0まで改善し退院したが、原病悪化にて7ヶ月後に死亡した。2症例ともに難治性腹水による腹圧上昇が骨盤臓器脱の制御を難渋させ、PSが悪化した。終末期でも中央腟閉鎖術はPSの改善に寄与し、安全で有意義であると考えられた。
ISSN:2187-5669
2434-8996
DOI:10.32310/jfpfm.20.1_22