循環器医は「メディカルコントロール協議会」への参画を 病院前での循環器救急医療の実情に関するアンケート結果から

循環器救急医療では,病院前救急搬送システムとの連携とそれを司る「メディカルコントロール(MC)協議会」への参画が重要である.病院前救急医療への循環器医の参画状況を明らかにし,課題を抽出するため,日本循環器学会医師会員を対象に「病院前での循環器救急医療の実情に関するアンケート」調査をwebで実施した.このアンケートには1,377名の回答を得た.回答者の90%は勤務医で,約80%が所属している医療施設に循環器内科医として勤務しており,その施設の救急の内訳は2次救急が44%,3次救急が41%を占めた.それでも,「MC」という言葉を知っているのは60%に留まり,「MC」の言葉を知っている回答者のうちで...

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Published in心臓 Vol. 56; no. 8; pp. 808 - 819
Main Authors 花田 裕之, 大倉 宏之, 笠岡 俊志, 山本 剛, 菊地 研, 竹内 一郎, 佐藤 直樹, 今村 浩, 加藤 正哉, 三宅 章公, 田原 良雄, 西山 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2024
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.56.808

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Summary:循環器救急医療では,病院前救急搬送システムとの連携とそれを司る「メディカルコントロール(MC)協議会」への参画が重要である.病院前救急医療への循環器医の参画状況を明らかにし,課題を抽出するため,日本循環器学会医師会員を対象に「病院前での循環器救急医療の実情に関するアンケート」調査をwebで実施した.このアンケートには1,377名の回答を得た.回答者の90%は勤務医で,約80%が所属している医療施設に循環器内科医として勤務しており,その施設の救急の内訳は2次救急が44%,3次救急が41%を占めた.それでも,「MC」という言葉を知っているのは60%に留まり,「MC」の言葉を知っている回答者のうちで,「MC協議会」に関与しているのは,わずか18%(145名)であり,救急隊が行った処置の事後検証に関与しているのは25%,救急隊が行う処置プロトコルの作成に関与しているのは8%に留まった.回答者が勤務している地域で「12誘導心電図伝送が行われている」のは35%以下で,院外での蘇生時に使用されたAEDの内部データは40%を超える地域では治療に役立てられていないことがわかった.自由記載する学会への要望では,AIテキストマイニングを用いて解析すると,①救急車からの12誘導心電図伝送システムの普及,②救急隊員への教育と搬送システムの構築,③AEDの内部データの入手,④都市部でのPCIセンターの集約化,⑤地方での緊急PCIの24時間体制の構築,が挙げられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.56.808