在宅介護の状況および介護ストレスに関する介護者の性差の検討
目的 近年,配偶者を介護する介護者が増え,それに伴って男性介護者は増加している。本研究では,本邦において介護者の在宅介護の状況および介護ストレスの性差を明らかにし,男性介護者と女性介護者の特徴を明確化することを目的とした。 方法 大阪府東大阪市在住の介護保険サービス利用者から層別無作為抽出した2,020人を調査対象とし,無記名自記式質問紙を送付し,1,287人から回答が得られた(回収率63.7%)。そのうち介護者の存在を確認できたのは947人で,ここから介護者の性別不明等を除外し,868組の要介護者と介護者を分析対象とした。要介護度,要介護者の認知障害の重症度,介護提供状況,介護負担感,介護者...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 240 - 251 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2004
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.51.4_240 |
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Summary: | 目的 近年,配偶者を介護する介護者が増え,それに伴って男性介護者は増加している。本研究では,本邦において介護者の在宅介護の状況および介護ストレスの性差を明らかにし,男性介護者と女性介護者の特徴を明確化することを目的とした。 方法 大阪府東大阪市在住の介護保険サービス利用者から層別無作為抽出した2,020人を調査対象とし,無記名自記式質問紙を送付し,1,287人から回答が得られた(回収率63.7%)。そのうち介護者の存在を確認できたのは947人で,ここから介護者の性別不明等を除外し,868組の要介護者と介護者を分析対象とした。要介護度,要介護者の認知障害の重症度,介護提供状況,介護負担感,介護者のうつ状態,副介護者の有無,介護保険サービスの利用状況,ストレス対処方略,介護者,要介護者の基本的属性について,男性介護者と女性介護者で比較した。 成績 男性介護者の割合は27.1%であった。男性介護者は女性より年齢が高かったが,女性が介護する要介護者の方が男性が介護する要介護者より高齢であった。要介護者の心身の状態では,女性介護者の方が認知障害の重症度が高い要介護者を介護していた。また,介護提供状況では,女性介護者の方が介護時間は有意に長く,介護内容も多かった。項目別では,女性介護者の方が「服薬」「整容」「入浴」「食事介助」「食事準備」「掃除・洗濯」「買い物」「金銭管理」等を有意に多く実施していた。介護ストレスについては,介護負担感,介護者のうつ状態ともに女性介護者の方が有意に高かった。介護保険サービスの利用状況では,男性介護者の方がホームヘルプの利用頻度は有意に高かった。ストレス対処方略では「私的支援活用型」「ペース配分型」「積極的受容型」対処方略について女性介護者の方が得点が有意に高かった。介護者の性別を従属変数としたロジスティック回帰分析では,介護負担感,私的支援活用型,積極的受容型対処方略において女性介護者の方が有意に高かった。 結論 本研究の結果より,在宅介護の状況および介護ストレスについて,男性介護者と女性介護者では多くの違いがみられることが明らかとなった。今後,男性介護者と女性介護者に待徴的なストレス関連要因を検討し,性差を考慮した援助の展開が必要であると考えられる。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.51.4_240 |