多部位の損傷を来した散弾銃創の1例

多部位の損傷を来した散弾銃による銃創の1例を経験した. 63歳の男性で,至近距離によ散弾銃を誤射された.散弾は,頭部・胸腹部・右大腿部に計23個みられ,胸部CTで右肺内と右心室内にあることが確認された.局麻下に腹壁表面の散弾を1個摘出し,その他は全身状態改善後,全麻下に透視を用いて摘出した.右下肢の散弾は浅大腿動脈の壁内にあり,散弾摘出後動脈再建術を行った.右肺内の散弾は,喀痰とともに自然に排出されたが,下顎・上縦隔・右心室壁内の計5個は摘出せずに経過観察とした.散弾の摘出には,透視が有用であり,血管造影を行い,血管との位置関係を把握しておくことも治療方針を決める上で重要である.また摘出困難な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 6; pp. 1685 - 1690
Main Authors 星野, 正己, 金井, 尚之, 小池, 荘介, 執行, 友成, 会田, 征彦, 原口, 義座
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.1998
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1685

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Summary:多部位の損傷を来した散弾銃による銃創の1例を経験した. 63歳の男性で,至近距離によ散弾銃を誤射された.散弾は,頭部・胸腹部・右大腿部に計23個みられ,胸部CTで右肺内と右心室内にあることが確認された.局麻下に腹壁表面の散弾を1個摘出し,その他は全身状態改善後,全麻下に透視を用いて摘出した.右下肢の散弾は浅大腿動脈の壁内にあり,散弾摘出後動脈再建術を行った.右肺内の散弾は,喀痰とともに自然に排出されたが,下顎・上縦隔・右心室壁内の計5個は摘出せずに経過観察とした.散弾の摘出には,透視が有用であり,血管造影を行い,血管との位置関係を把握しておくことも治療方針を決める上で重要である.また摘出困難な部位に存在する散弾は,残しても問題ない場合が多く,皮下や筋肉内にあれば鉛中毒は起きにくい.しかし,数10年経過後に鉛中毒を発生したという報告もあり,長期的な経過観察が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1685