磯貝論文に対するEditorial Comment Oozing
たこつぼ心筋障害における心筋病変は, 心筋壊死ではなく可逆的心筋抑制・気絶心筋が主体であると考えられている. したがって, クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)の上昇はわずかで短期間に自然回復する. 一方, たこつぼ心筋障害に伴う心破裂の報告は意外に多い. 心筋壊死が少ないにもかかわらず心破裂を起こすのは, 磯貝らの考察にあるように機械的ストレスの影響が大きいものと思われる. 風船状拡大部と過剰収縮部の境界のhinge領域には通常では生じ得ない逆折り曲げのようなストレスが加わる可能性がある. 心室内に圧較差が生じ, 左室内に異常な高圧が生じている症例ではより大きなストレス...
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Published in | 心臓 Vol. 44; no. 2; pp. 202 - 203 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2012
日本心臓財団 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.44.202 |
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Summary: | たこつぼ心筋障害における心筋病変は, 心筋壊死ではなく可逆的心筋抑制・気絶心筋が主体であると考えられている. したがって, クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)の上昇はわずかで短期間に自然回復する. 一方, たこつぼ心筋障害に伴う心破裂の報告は意外に多い. 心筋壊死が少ないにもかかわらず心破裂を起こすのは, 磯貝らの考察にあるように機械的ストレスの影響が大きいものと思われる. 風船状拡大部と過剰収縮部の境界のhinge領域には通常では生じ得ない逆折り曲げのようなストレスが加わる可能性がある. 心室内に圧較差が生じ, 左室内に異常な高圧が生じている症例ではより大きなストレスとなることであろう. 急性心筋梗塞では壊死領域と健常領域の間に境界虚血領域として収縮性が低下した領域が存在している点がたこつぼ心筋障害とは大きく異なる. このため心筋梗塞では壊死部に破裂が生じ, たこつぼ心筋障害ではhinge領域に破裂が生じる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.44.202 |