1次~3次救急を担う緊急ERCPの実際

急性胆管炎や胆石膵炎に関する緊急ERCPはガイドラインでも有効性が認められ,当院では医師・看護師・内視鏡技師のon call体制で行っている。[対象と方法]2006年4月1日から1年間で施行した緊急ERCP68症例の現状,効果と安全性を後向きチャートレビュー形式で検討した。[結果]緊急ERCPは全ERCPの38%で,65歳以上の高齢者が59%を占めた。有基礎疾患症例は70%で,16.7%で抗血小板薬や抗凝固薬を内服していた。原因疾患ではoncogenic emergencyが増加していた。診断基準ではガイドライン外症例が14例(20.5%)含まれたが,うち4例で緊急ERCP時に感染胆汁を認め,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 73; no. 2; pp. 120 - 124
Main Authors 藤田, 善幸, 植村, 昌代, 石井, 直樹, 鈴木, 祥子, 堀木, 紀行, 藤谷, 志野, 飯塚, 雄介, 福田, 勝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 10.12.2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.73.2_120

Cover

More Information
Summary:急性胆管炎や胆石膵炎に関する緊急ERCPはガイドラインでも有効性が認められ,当院では医師・看護師・内視鏡技師のon call体制で行っている。[対象と方法]2006年4月1日から1年間で施行した緊急ERCP68症例の現状,効果と安全性を後向きチャートレビュー形式で検討した。[結果]緊急ERCPは全ERCPの38%で,65歳以上の高齢者が59%を占めた。有基礎疾患症例は70%で,16.7%で抗血小板薬や抗凝固薬を内服していた。原因疾患ではoncogenic emergencyが増加していた。診断基準ではガイドライン外症例が14例(20.5%)含まれたが,うち4例で緊急ERCP時に感染胆汁を認め,3例が85歳以上であった。重症度分類では16例(24.2%)がガイドラインでは待期的ERCPの適応とされる軽症例であったが,うち6例で感染胆汁を認めた。結石症例では85.7%で一期的切石を行い,抗血小板薬内服例や全身状態が悪い例ではドレナージを優先した。胆道狭窄・閉塞ではドレナージ法は感染の程度やその後の治療方針により選択していた。緊急ERCP後98%で症状や検査所見の改善を認め,合併症は軽症膵炎1例(1.4%)であった。[結語]緊急ERCPは体制を整えて行えば安全に施行可能であった。ガイドラインで緊急ERCPの適応外とされる病変にも重症化する可能性のある急性胆管炎が含まれ,特に高齢者や画像診断陰性例でその傾向がみられた。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.73.2_120