STA-MCA double anastomoses術後の創傷治癒遅延を予防する手技の工夫
STA-MCA anastomosisは,頭蓋内血行再建術の代表的な手術である.本手術は,頭皮を栄養する血管をdonor graftとするため,皮膚の血行障害を生じやすく,創傷治癒遅延や脱毛,血行障害が高度な場合は壊死や潰瘍形成を認めることがある.特に前頭枝,頭頂枝の2本を用いるdouble anastomosesでは,創部合併症のリスクはさらに高くなることが報告されている.われわれは,創縁に対する侵襲的な操作を極力省き,愛護的操作を徹底することで,創部合併症の予防に努めている.手技については,①皮膚切開の最短化,②創面への熱凝固止血操作の回避,③血流を意識した縫合間隔,④術後の創部処置,とい...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 53; no. 2; pp. 127 - 132 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.53.127 |
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Summary: | STA-MCA anastomosisは,頭蓋内血行再建術の代表的な手術である.本手術は,頭皮を栄養する血管をdonor graftとするため,皮膚の血行障害を生じやすく,創傷治癒遅延や脱毛,血行障害が高度な場合は壊死や潰瘍形成を認めることがある.特に前頭枝,頭頂枝の2本を用いるdouble anastomosesでは,創部合併症のリスクはさらに高くなることが報告されている.われわれは,創縁に対する侵襲的な操作を極力省き,愛護的操作を徹底することで,創部合併症の予防に努めている.手技については,①皮膚切開の最短化,②創面への熱凝固止血操作の回避,③血流を意識した縫合間隔,④術後の創部処置,といった点を意識して実施した.対象は,2017年2月から2024年9月までに上記の手術手技に則ってSTA-MCA double anastomosesを実施できた37例とした.結果は,全症例で創傷治癒遅延を認めることなく,術後7日目に全抜鉤が行えた.当施設で行っている侵襲を抑えた皮膚切開と愛護的なSTA採取,縫合操作は,術後の創部合併症の回避に有用と考えられた. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.53.127 |