当院における免疫チェックポイント阻害薬による 下痢・大腸炎の現状

【背景・目的】免疫チェックポイント阻害薬(ICI)には免疫関連有害事象(irAE)が認め られることがあり,特に下痢や大腸炎は発生頻度が高い.今回,当院におけるICIによる下痢・大腸 炎の現状について後方視的に検討した.【対象・方法】2014年7月1日から2019年6月30日までの 期間に当院で新規導入したICI症例98例(重複例5例)を対象とし,主要評価項目として下痢・大 腸炎発症の頻度,副次評価項目としてその臨床的特徴,未発症例との臨床的比較を行った.【結果】 下痢・大腸炎の発症は9例9.2%で,CTCAE Grade1が7例77.8%,Grade2が2例22.2%であった. 下痢・大腸炎...

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Published in島根県立中央病院医学雑誌 Vol. 45; pp. 13 - 18
Main Authors 宮岡, 洋一, 高下, 成明, 三宅, 達也, 山本, 智彦, 塚野, 航介, 末光, 信介, 田中, 雅樹, 兒玉, 康秀, 藤代, 博史, 大沼, 秀行, 藤原, 文, 小川, さや香, 山之内, 智志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 島根県立中央病院 2021
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ISSN0289-5455
2435-0710
DOI10.34345/spch.45.0_13

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Summary:【背景・目的】免疫チェックポイント阻害薬(ICI)には免疫関連有害事象(irAE)が認め られることがあり,特に下痢や大腸炎は発生頻度が高い.今回,当院におけるICIによる下痢・大腸 炎の現状について後方視的に検討した.【対象・方法】2014年7月1日から2019年6月30日までの 期間に当院で新規導入したICI症例98例(重複例5例)を対象とし,主要評価項目として下痢・大 腸炎発症の頻度,副次評価項目としてその臨床的特徴,未発症例との臨床的比較を行った.【結果】 下痢・大腸炎の発症は9例9.2%で,CTCAE Grade1が7例77.8%,Grade2が2例22.2%であった. 下痢・大腸炎非発症89例との比較では,ICIの投与回数と奏効率(CR+PR)が発症例で有意に高かっ た.【まとめ】当院におけるICIの下痢・大腸炎の頻度は既存の報告と同レベルではあったが,今後, 増加しうるirAEに対し,各科が協力して対応する必要があると考えられる.
ISSN:0289-5455
2435-0710
DOI:10.34345/spch.45.0_13