胃がん周術期患者の術前における口腔機能低下症罹患率

目的:今回われわれは,胃がん周術期患者における術前の口腔機能低下症(Oral Hypofunction, OHF)の罹患率および栄養状態との関連性について検討した。 方法:2018年6月から2020年3月までに当科に周術期口腔管理目的で受診した胃がん患者214名を対象とした。OHFの7項目を測定し,3項目以上が診断基準に該当した場合にOHFと定義した。また,2019年7月よりMini Nutrition Assessment(MNA)を用いて栄養状態を評価した。70歳未満を若年群,70歳以上を高齢群とし,口腔機能の測定値とOHF罹患率が年齢とがんのStageによって差があるか検討した。また,O...

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Published in老年歯科医学 Vol. 35; no. 2; pp. 118 - 126
Main Authors 関本, 愉, 松尾, 浩一郎, 岡本, 美英子, 片山, 南海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.09.2020
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.35.118

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Summary:目的:今回われわれは,胃がん周術期患者における術前の口腔機能低下症(Oral Hypofunction, OHF)の罹患率および栄養状態との関連性について検討した。 方法:2018年6月から2020年3月までに当科に周術期口腔管理目的で受診した胃がん患者214名を対象とした。OHFの7項目を測定し,3項目以上が診断基準に該当した場合にOHFと定義した。また,2019年7月よりMini Nutrition Assessment(MNA)を用いて栄養状態を評価した。70歳未満を若年群,70歳以上を高齢群とし,口腔機能の測定値とOHF罹患率が年齢とがんのStageによって差があるか検討した。また,OHFの有無とがんのStageでMNA値に差があるかについても検討した。 結果:舌圧,咬合力,舌口唇運動機能の各値は,高齢群で有意に低かった。また,舌圧はStageの進行とともに低下していた。OHF罹患率は,若年群では25%であったが,高齢群では39%と高齢群で高い傾向にあった。また,Stage 2以上の患者では,高齢群で低舌圧,咬合力低下,舌口唇運動機能低下の該当率が有意に高かった。MNA値はOHF罹患者で有意に低値を示していた。 結論:胃がん周術期患者では,がんの病期によらず,70歳以上の高齢者で口腔機能が低下していることが明らかになった。また,がんのStageの進行とともに舌圧が低下していることが示唆された。OHFは栄養状態とも関連している可能性があり,術後栄養管理の一環として,周術期における口腔機能への評価と介入が必要と考えられた。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.35.118