完全内臓逆位を伴うS状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した一例
症例は60代男性.幼少期より完全内臓逆位を指摘されていた.血液検査にてCEA高値を指摘され,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に1/2周性の2型腫瘍を認めた.S状結腸癌cT3N1M0 cStageⅢbと診断し腹腔鏡下S状結腸切除術を行った.術者は患者左側に立ち,砕石位にて手術を開始した.中枢郭清の後,直腸剥離操作時は患者右側に立ち位置を変え切除・吻合は右側から行った.術者の立ち位置を変更したことで通常解剖に近い動作で手術を施行し得た.手術時間は221分,出血量は少量であった.術後は合併症なく経過し第10病日に退院となった.完全内臓逆位であっても,術前のシミュレーションを十分に行い,術者の立ち位置...
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Published in | 島根県立中央病院医学雑誌 Vol. 49; pp. 49 - 53 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
島根県立中央病院
10.03.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0289-5455 2435-0710 |
DOI | 10.34345/spch.49.0_49 |
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Summary: | 症例は60代男性.幼少期より完全内臓逆位を指摘されていた.血液検査にてCEA高値を指摘され,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に1/2周性の2型腫瘍を認めた.S状結腸癌cT3N1M0 cStageⅢbと診断し腹腔鏡下S状結腸切除術を行った.術者は患者左側に立ち,砕石位にて手術を開始した.中枢郭清の後,直腸剥離操作時は患者右側に立ち位置を変え切除・吻合は右側から行った.術者の立ち位置を変更したことで通常解剖に近い動作で手術を施行し得た.手術時間は221分,出血量は少量であった.術後は合併症なく経過し第10病日に退院となった.完全内臓逆位であっても,術前のシミュレーションを十分に行い,術者の立ち位置を工夫することで,安全に腹腔鏡下手術を施行できると考えられる. |
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ISSN: | 0289-5455 2435-0710 |
DOI: | 10.34345/spch.49.0_49 |