血液透析中の食道静脈瘤患者に対して5%エタノールアミンオレイン酸の血管内注入による内視鏡的硬化療法を施行した1例

症例は72歳,男性.慢性腎不全にて週2回血液透析中であり,2007年よりB型肝硬変にてETV内服中であった.2008年2月に黒色便にて当院を受診し,上部消化管内視鏡で精査したところLsF3CbRC2の食道静脈瘤を認めた.CTで左胃静脈が供血路であり,傍食道静脈が未発達のため5% EOI血管内注入によるEISで加療した.合併症予防のため1回の5% EOIの総使用量は0.2 ml/kg未満に制限し,血小板が2.7×104/μlで低値のため治療前に血小板製剤を10単位輸血した.血液透析はEISの2日後と5日後に施行し,抗凝固剤としてEISによる止血効果を減弱させないためメシル酸ナファモスタットを使用...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 26 - 30
Main Authors 橋本, 義政, 長沖, 祐子, 茶山, 一彰, 相方, 浩, 宮木, 大輔, 高橋, 祥一, 児玉, 英章, 高木, 慎太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2011
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.17.26

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Summary:症例は72歳,男性.慢性腎不全にて週2回血液透析中であり,2007年よりB型肝硬変にてETV内服中であった.2008年2月に黒色便にて当院を受診し,上部消化管内視鏡で精査したところLsF3CbRC2の食道静脈瘤を認めた.CTで左胃静脈が供血路であり,傍食道静脈が未発達のため5% EOI血管内注入によるEISで加療した.合併症予防のため1回の5% EOIの総使用量は0.2 ml/kg未満に制限し,血小板が2.7×104/μlで低値のため治療前に血小板製剤を10単位輸血した.血液透析はEISの2日後と5日後に施行し,抗凝固剤としてEISによる止血効果を減弱させないためメシル酸ナファモスタットを使用した.4回EISを施行して食道静脈瘤はF0まで至り,合併症なく良好な血栓化が得られた.血液透析中の患者の食道静脈瘤に5% EOI血管内注入によるEISで治療した例を経験したので報告する.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.17.26