ウイルス性髄膜炎として初期治療された下垂体卒中の1例

下垂体卒中は, 下垂体腺腫の出血性梗塞が主な原因であるが, まれに化学的髄膜炎を伴うことがある. その場合, 多核球優位の細菌性髄膜炎様の髄液所見を呈することが多い. われわれの症例は, 汎下垂体機能低下症で発症した49歳男性の下垂体卒中例で, 最初単核球優位の髄液所見を示し, ウイルス性髄膜炎として治療を受けた. その後, 眼症状が出現して, 病態が明らかとなった. 神経内視鏡下経鼻手術により血腫および下垂体腺腫を摘出して症状は改善した. 単核球優位の髄液所見を呈したとするごく少数の報告を検討すると, それらは出血の進行が比較的緩やかであり, 遅い時期の炎症を観察しているのではないかと推論し...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 28; no. 2; pp. 90 - 97
Main Authors 徳永, 英守, 森本, 尭之, 小谷, 有希子, 西村, 文彦, 出口, 潤, 永田, 清, 二階堂, 雄次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2019
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.28.90

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Summary:下垂体卒中は, 下垂体腺腫の出血性梗塞が主な原因であるが, まれに化学的髄膜炎を伴うことがある. その場合, 多核球優位の細菌性髄膜炎様の髄液所見を呈することが多い. われわれの症例は, 汎下垂体機能低下症で発症した49歳男性の下垂体卒中例で, 最初単核球優位の髄液所見を示し, ウイルス性髄膜炎として治療を受けた. その後, 眼症状が出現して, 病態が明らかとなった. 神経内視鏡下経鼻手術により血腫および下垂体腺腫を摘出して症状は改善した. 単核球優位の髄液所見を呈したとするごく少数の報告を検討すると, それらは出血の進行が比較的緩やかであり, 遅い時期の炎症を観察しているのではないかと推論した. ウイルス性髄膜炎と紛らわしい下垂体卒中があることに注意するべきである.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.28.90