脳室帽状腱膜下シャント術が奏功した未熟児水頭症の1例

概  要:未熟児,特に出生体重 1,000g未満の超低出生体重児では脳室内出血が生じることが多く,出血後水頭症をきたすことがある.最も一般的な治療法は脳室腹腔シャント術であるが,患児の体重や全身状態などによってはすぐに施行することが困難であり,代替手段を必要とすることが多い.この度,代替手段として本邦でも実施例の少ない脳室帽状腱膜下シャント術が奏功した未熟児水頭症の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は在胎 23週4日,出生時体重 518gの超低出生体重児.日齢1の超音波検査で脳室内出血を認めた.その後脳室の経時的拡大を認め指摘された水頭症に対して,体重が1,500gに達...

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Published in島根県立中央病院医学雑誌 Vol. 46; pp. 53 - 57
Main Authors 井川, 房夫, 日髙, 敏和, 松田, 真伍, 桒原, 政志, 大園, 伊織, 飛弾, 美紗都
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 島根県立中央病院 2022
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ISSN0289-5455
2435-0710
DOI10.34345/spch.46.0_53

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Summary:概  要:未熟児,特に出生体重 1,000g未満の超低出生体重児では脳室内出血が生じることが多く,出血後水頭症をきたすことがある.最も一般的な治療法は脳室腹腔シャント術であるが,患児の体重や全身状態などによってはすぐに施行することが困難であり,代替手段を必要とすることが多い.この度,代替手段として本邦でも実施例の少ない脳室帽状腱膜下シャント術が奏功した未熟児水頭症の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は在胎 23週4日,出生時体重 518gの超低出生体重児.日齢1の超音波検査で脳室内出血を認めた.その後脳室の経時的拡大を認め指摘された水頭症に対して,体重が1,500gに達した日齢 72に脳室帽状腱膜下シャント術を施行した.日齢 111のMRIでは帽状腱膜下スペースに髄液貯留を認め,髄液漏もなく経過した.体重が3,000gに達した日齢 124に脳室腹腔シャント術を施行した.その後も合併症なく経過し,日齢 198に自宅退院した.
ISSN:0289-5455
2435-0710
DOI:10.34345/spch.46.0_53