COVID-19流行中におけるリハビリテーション専門職の抑うつと睡眠およびストレス発散に費やす時間との関係

【背景・目的】市中病院においてリハビリテーション(リハ)専門職のメンタルヘルス支援は、うつ病の罹患や職場の不適応、離職を減らすための重要課題である。リハ専門職は患者と一対一で身体に触れて治療し、連続して15分以上接するため、罹患リスクが高いことからCOVID-19流行中においては、高ストレス状態にあったと推察される。本調査はCOVID-19流行中に市中病院においてリハ専門職の抑うつと睡眠時間およびストレス発散時間を調査して、メンタルヘルス支援の要所を探索することを目的とした。【方法】関東地区の市中病院・介護施設のリハ専門職1,226名を対象として、Google Formを用いてWeb質問回答形...

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Published in行動医学研究 Vol. 29; no. 2; pp. 77 - 85
Main Authors 濱口, 豊太, 中谷, 直樹, 滝澤, 宏和, 田山, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動医学会 2024
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ISSN1341-6790
2188-0085
DOI10.11331/jjbm.29.77

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Summary:【背景・目的】市中病院においてリハビリテーション(リハ)専門職のメンタルヘルス支援は、うつ病の罹患や職場の不適応、離職を減らすための重要課題である。リハ専門職は患者と一対一で身体に触れて治療し、連続して15分以上接するため、罹患リスクが高いことからCOVID-19流行中においては、高ストレス状態にあったと推察される。本調査はCOVID-19流行中に市中病院においてリハ専門職の抑うつと睡眠時間およびストレス発散時間を調査して、メンタルヘルス支援の要所を探索することを目的とした。【方法】関東地区の市中病院・介護施設のリハ専門職1,226名を対象として、Google Formを用いてWeb質問回答形式調査を実施した。調査対象者には、年齢、職種経験年数、職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、役職の有無、勤務形態(常勤、常勤時短、非常勤)、睡眠時間、ストレス発散時間、抑うつ症状の尺度(PHQ-9:Patient Health Questionnaire-9)により選択肢回答させた。統計解析は、PHQ-9の10点以上を抑うつありとし、抑うつの有無を従属変数、睡眠時間・ストレス発散時間を独立変数として二項ロジスティック回帰分析を行った。共変量は、年齢、役職の有無、勤務形態とした。調査対象者には書面にて説明し、同意を得た。解析はJamovi(ver1.2)を用いて有意水準は5%未満とした。本研究は新座病院倫理委員会の承認を得た。【結果】2020年9月26日から12日間でWebでの回収数は1,208件であった。すべての質問項目(基本情報・生活状況・心理検査)の回答が一致していた同一参加者による複数回答と疑われる試料に対し、最初の1件のみを採用し2件目以降を重複回答として削除した(129件)。最終的に1,079件の回答が得られた(回答率88%)。PHQ-9が10点以上の職員人数(割合)は194人(18%)だった。二項ロジスティック回帰分析の結果、睡眠時間が7-8時間の者を基準とした場合、抑うつを有するオッズ比は、睡眠時間が5時間未満の者で5.87(95%CI[2.64, 13.02], p<0.001)、5-6時間の者で2.38(95%CI[1.15, 4.95], p=0.020)であった。また、ストレス発散時間が30分未満の者は、ストレス発散時間が30~60分未満の者と比べて抑うつを有するオッズ比は1.75(95%CI[1.20, 2.54], p=0.003)であった。【結論】COVID-19流行中において、リハ専門職の18%に抑うつ症状が認められた。また、リハ専門職は睡眠時間が6時間未満の者、ストレス発散時間が一日に30分未満の者は抑うつの有症率が高いことが明らかになった
ISSN:1341-6790
2188-0085
DOI:10.11331/jjbm.29.77