開放手術による腎盂尿管癌手術の成績と課題 リンパ節郭清の点から
上部尿路癌に対する標準的治療は腎尿管全摘術+膀胱カフ切除である.近年鏡視下手術が普及しているが,唯一のランダム化試験ではhigh grade,high stageの症例に対しては開腹手術の成績のほうが優れていた.その理由の1つとして,鏡視下手術ではリンパ節郭清が十分に行われていないことが1つの理由として推測されている.リンパ節郭清の治療的意義についてはまだ議論があるが,最近のデータはこれを支持するものが多く,多くのガイドラインで浸潤癌において推奨されている.郭清におけるポイントは解剖学的テンプレートに基づいて施行することが重要であり,中途半端な郭清では治療意義が上がらない.鏡視下リンパ節郭清は...
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Published in | Japanese Journal of Endourology Vol. 29; no. 1; pp. 67 - 73 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本泌尿器内視鏡学会
01.04.2016
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Subjects | |
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ISSN | 2186-1889 2187-4700 |
DOI | 10.11302/jsejje.29.67 |
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Summary: | 上部尿路癌に対する標準的治療は腎尿管全摘術+膀胱カフ切除である.近年鏡視下手術が普及しているが,唯一のランダム化試験ではhigh grade,high stageの症例に対しては開腹手術の成績のほうが優れていた.その理由の1つとして,鏡視下手術ではリンパ節郭清が十分に行われていないことが1つの理由として推測されている.リンパ節郭清の治療的意義についてはまだ議論があるが,最近のデータはこれを支持するものが多く,多くのガイドラインで浸潤癌において推奨されている.郭清におけるポイントは解剖学的テンプレートに基づいて施行することが重要であり,中途半端な郭清では治療意義が上がらない.鏡視下リンパ節郭清は技術的に難易度が高く,テンプレートに示す郭清が確実に施行できるのは開腹手術である.開腹による郭清ではどのような術者でも普遍的に行える事をわれわれは示している.またリンパ節郭清のエビデンスとなっているデータのほとんどは開腹手術による結果に基づいている.こうしたことから,われわれは開腹手術で腎尿管全摘+膀胱カフ切除+リンパ節郭清を行うようにしている.適応症例の決定は郭清にかかわる課題の1つであるが,画像検査による深達度診断ではまだ正診率が高くないため,術前に適応症例を決定することが難しい.そのためわれわれは合併症症例,高齢者を除いては原則全例でリンパ節郭清を行っている. |
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ISSN: | 2186-1889 2187-4700 |
DOI: | 10.11302/jsejje.29.67 |