舌下免疫療法を用いたスギ花粉症に対する早期介入 スギ花粉感作陽性未発症者を対象とした発症予防についての検討

アレルギー性鼻炎の発症予防を図ることがアレルギー性鼻炎を制御する上で重要なことは言うまでもない。近年,安全性が高く患者負担が少ない舌下免疫療法が注目されている。我々は舌下免疫療法がスギ花粉症に対しても症状の一定の改善効果と抗アレルギー免疫誘導が期待されることを報告してきた。スギ花粉に感作陽性ながら未発症者が多数存在するが,今回このようなスギ花粉症発症予備軍とも考えられるスギ花粉感作陽性未発症者を対象にスギ花粉エキスの舌下投与を行い,発症予防のワクチン治療としての意義について検討を行った。試験はプラセボ対照二重盲検試験により行った。これまで花粉症症状の自覚がなく,スクリーニングの時点でスギ花粉感...

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Published in耳鼻咽喉科免疫アレルギー Vol. 32; no. 3; pp. 197 - 201
Main Authors 岡本, 美孝, 米倉, 修二, 花澤, 豊行, 櫻井, 利興, 大熊, 雄介, 山本, 陛三朗, 櫻井, 大樹, 飯沼, 智久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 2014
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ISSN0913-0691
2185-5900
DOI10.5648/jjiao.32.197

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Summary:アレルギー性鼻炎の発症予防を図ることがアレルギー性鼻炎を制御する上で重要なことは言うまでもない。近年,安全性が高く患者負担が少ない舌下免疫療法が注目されている。我々は舌下免疫療法がスギ花粉症に対しても症状の一定の改善効果と抗アレルギー免疫誘導が期待されることを報告してきた。スギ花粉に感作陽性ながら未発症者が多数存在するが,今回このようなスギ花粉症発症予備軍とも考えられるスギ花粉感作陽性未発症者を対象にスギ花粉エキスの舌下投与を行い,発症予防のワクチン治療としての意義について検討を行った。試験はプラセボ対照二重盲検試験により行った。これまで花粉症症状の自覚がなく,スクリーニングの時点でスギ花粉感作陽性かつ鼻誘発試験が陰性の症例を対象に,2012 年,2013 年のそれぞれ飛散開始の約 2 ヶ月前から 5 ヶ月間舌下投与した。維持期には標準化スギ花粉エキス1 ml (2000 JAU),あるいはプラセボを連日舌下投与した。発症の判断は花粉飛散期に症状があり,鼻誘発試験で陽性となった症例とした。解析延べ人数は80 名で,プラセボ群34 例,実薬群46 例であった。プラセボ群では11 例(32.4%)の発症を認めたのに対し,実薬群では6 例(13.1%)であり,実薬群で有意に発症者の割合は低値を示した(p=0.037)。実薬群の非発症例では発症例に比べて制御性T 細胞の増加の抑制が認められた。スギ花粉の舌下投与はスギ花粉症発症予防ワクチンとしての可能性が示唆された。
ISSN:0913-0691
2185-5900
DOI:10.5648/jjiao.32.197