小張病院眼科における小児の心因性視力障害について

心因性視力障害と思われる児童29人に,眼科的精査とY-Gテストを行い検討した.小学生では発症人数に性差は見られず,中学生は女児のみであった.視力障害は軽度で,自覚のない者が多く,視野はラセン状視野が59%を占めるが,正常視野も34%見られた.Y-Gテストでは,異常は無かった.視力低下に心因の関与が明確な者は41%と少なく,残りは原因となる環境因子が断定しにくく,視力低下が心因から起因していると思いにくい症例もあった.心因の関与が明確な者も,そうでない者も半数以上改善が見られるが,心因が明確な者の方が僅かに改善率が良い. 我々は,精神科の専門教育を受けていないため,なかなか患児や家族から充分な情...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 18; pp. 157 - 162
Main Authors 須藤, 聡子, 長瀬, 良子, 橋本, 哲也, 柱, 宗孝, 原, 園江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 1990
Subjects
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.18.157

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Summary:心因性視力障害と思われる児童29人に,眼科的精査とY-Gテストを行い検討した.小学生では発症人数に性差は見られず,中学生は女児のみであった.視力障害は軽度で,自覚のない者が多く,視野はラセン状視野が59%を占めるが,正常視野も34%見られた.Y-Gテストでは,異常は無かった.視力低下に心因の関与が明確な者は41%と少なく,残りは原因となる環境因子が断定しにくく,視力低下が心因から起因していると思いにくい症例もあった.心因の関与が明確な者も,そうでない者も半数以上改善が見られるが,心因が明確な者の方が僅かに改善率が良い. 我々は,精神科の専門教育を受けていないため,なかなか患児や家族から充分な情報を得ることが難しい.心因性の疾患が増加している今日,スタッフの教育を含む病院側の受け入れ態勢の検討が必要だと思われた.
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.18.157