関節リウマチ患者と健常者におけるサルコペニア有病率と栄養・運動状況の比較検討
【目的】関節リウマチ(RA)患者と健常者におけるサルコペニア有病率と栄養・運動状況について比較検討した.【対象】RA群は53名(平均66.5歳,罹病期間11.7年,全員女性),対照群は健常者30名(平均65.8歳,全員女性)とした.【方法】骨格筋量,握力,10m歩行速度,5回起立時間を測定し,栄養状態(簡易栄養状態評価表,1日の動物性タンパク質の摂取頻度),運動(頻度,内容)を聴取した.【結果】RA群におけるサルコペニア有病率は37.8%(対照群3.2%)と有意に高く,骨格筋量および下肢の筋肉量が有意に低下していた.BMIは有意差がなかったが,体脂肪率35%以上の割合は41.5%(対照群16....
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Published in | 臨床リウマチ Vol. 35; no. 2; pp. 95 - 107 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 0914-8760 2189-0595 |
DOI | 10.14961/cra.35.95 |
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Summary: | 【目的】関節リウマチ(RA)患者と健常者におけるサルコペニア有病率と栄養・運動状況について比較検討した.【対象】RA群は53名(平均66.5歳,罹病期間11.7年,全員女性),対照群は健常者30名(平均65.8歳,全員女性)とした.【方法】骨格筋量,握力,10m歩行速度,5回起立時間を測定し,栄養状態(簡易栄養状態評価表,1日の動物性タンパク質の摂取頻度),運動(頻度,内容)を聴取した.【結果】RA群におけるサルコペニア有病率は37.8%(対照群3.2%)と有意に高く,骨格筋量および下肢の筋肉量が有意に低下していた.BMIは有意差がなかったが,体脂肪率35%以上の割合は41.5%(対照群16.7%)とRA群で高かった.肉か魚を1日2食以上摂取しない割合はRA群54.7%(対照群20.0%)と有意に高かった.サルコペニアがあるRA群はサルコペニアがないRA群と比較して,高齢かつ低栄養であったが有酸素運動の頻度は高かった.【結論】RA群は健常者と比べサルコペニア有病率が高く,動物性タンパク質の摂取頻度が低かった.BMIが標準値内であっても体脂肪率35%以上の割合が高く,下肢の筋肉量の低下が特徴的であった.サルコペニアがあるRA群は,低栄養傾向を示したが有酸素運動の頻度が高く,リハビリテーションの指導を全く受けていなかった.本調査より,早期からの栄養指導と運動療法の複合介入が望まれる. |
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ISSN: | 0914-8760 2189-0595 |
DOI: | 10.14961/cra.35.95 |