回復期から在宅まで切れ目のない摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入により完全経口摂取が可能となった胃瘻患者の1例

回復期において経口摂取が困難となり胃瘻造設された患者が,入院中から退院後の継続した摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入により,経口摂取が可能となった症例を経験したので報告する。 患者は70代後半男性。腸閉塞から脱水状態となったことで脳梗塞を発症して入院し,その際の嘔吐により誤嚥性肺炎を発症した。入院中は中心静脈栄養による栄養管理が行われた。経口摂取の再開に向けて,病院主治医からの依頼で病院に訪問した歯科医師が摂食嚥下機能評価を行い,病院の言語聴覚士に対して摂食嚥下リハビリテーションを指示した。患者には胃瘻が造設され,初診から4カ月後に一部経口摂取が可能となった状態で自宅に退院した。退院に合わせ...

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Published in老年歯科医学 Vol. 38; no. 1; pp. 11 - 17
Main Authors 尾関, 麻衣子, 駒形, 悠佳, 田村, 文誉, 菊谷, 武, 田中, 公美, 佐藤, 志穂, 戸原, 雄, 高橋, 賢晃, 宮下, 大志, 仲澤, 裕次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.06.2023
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.38.1_11

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Summary:回復期において経口摂取が困難となり胃瘻造設された患者が,入院中から退院後の継続した摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入により,経口摂取が可能となった症例を経験したので報告する。 患者は70代後半男性。腸閉塞から脱水状態となったことで脳梗塞を発症して入院し,その際の嘔吐により誤嚥性肺炎を発症した。入院中は中心静脈栄養による栄養管理が行われた。経口摂取の再開に向けて,病院主治医からの依頼で病院に訪問した歯科医師が摂食嚥下機能評価を行い,病院の言語聴覚士に対して摂食嚥下リハビリテーションを指示した。患者には胃瘻が造設され,初診から4カ月後に一部経口摂取が可能となった状態で自宅に退院した。退院に合わせて,病院へ訪問していた歯科医療機関が継続して訪問し,管理栄養士が同行した。摂食嚥下リハビリテーションを継続し,摂食機能の改善に合わせて,経口摂取量の調整や適した食形態の指導,調理方法や栄養指導を段階的に行い,嚥下調整食から常食への変換を図った。初診から11カ月後に完全経口摂取が可能となり胃瘻が抜去された。 本症例より,胃瘻患者の完全経口摂取には,入院中から退院後まで一貫した摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入が重要であることが明らかとなった。同時に,退院後の生活期における栄養管理方法については,QOLの改善,家族に対する支援,患者や家族の栄養状態維持の必要性に対する理解について課題が示された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.38.1_11