形成外科領域におけるBRL 28500の基礎的・臨床的検討

BRL 28500はβ-lactamase阻害剤であるclavulanic acid (CVA) とticarcillin (TIPC) を1:15 (力価比) の割合で配合した注射用抗生物質である。本剤の皮膚内濃度, 抗菌力, 臨床効果などを検討し以下の成績を得た。 全身麻酔下に植皮術を受けた患者に, BRL 28500 1.6gをone shotで静注した後のTIPC, CVAの皮膚内濃度は, 血中濃度が30分値にピークを有したのに対して, 1時間値にピークがあり, それぞれ20.6±6.07μg/g, 1.30±0.55μg/gに達し, 以後1.23時間, 1.17時間のT1/2をもって...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inCHEMOTHERAPY Vol. 34; no. Supplement4; pp. 1091 - 1100
Main Authors 本田, 耕一, 吉田, 哲憲, 本間, 賢一, 菅野, 弘之, 大浦, 武彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1986
Online AccessGet full text
ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_1091

Cover

More Information
Summary:BRL 28500はβ-lactamase阻害剤であるclavulanic acid (CVA) とticarcillin (TIPC) を1:15 (力価比) の割合で配合した注射用抗生物質である。本剤の皮膚内濃度, 抗菌力, 臨床効果などを検討し以下の成績を得た。 全身麻酔下に植皮術を受けた患者に, BRL 28500 1.6gをone shotで静注した後のTIPC, CVAの皮膚内濃度は, 血中濃度が30分値にピークを有したのに対して, 1時間値にピークがあり, それぞれ20.6±6.07μg/g, 1.30±0.55μg/gに達し, 以後1.23時間, 1.17時間のT1/2をもって減少した。皮膚への移行はTIPCで血中濃度の29%, CVAで39%と良好であった。 臨床分離のS. aureus 106株のうち88.7%はβ-lactamase産生株で, TIPC, PIPCには高度耐性株が存在したが, BRL 28500はTIPCに対して2段階, PIPCに対して2~4段階強い抗菌活性を示した。β-lactamase産生94株中77株 (81.9%) がTIPCに対して100μg/ml以上のMICを示したが, CVAを配合したBRL 28500に対しては約2段階小さい値のMICとなった。 術後潰瘍4例, 熱傷潰瘍3例, II度熱傷2例, 化膿性汗腺炎2例, 難治性瘻孔2例, 術後膿瘍1例, 肺梗塞に伴う呼吸器感染症1例, 下顎骨骨髄炎1例, 褥瘡1例の計17例にBRL 28500を3~21日 (平均8.2日), 総投与量8.0~124.8g (平均29.6g) を投与した。判定不能の1例を除いた16例中, 著効2例 (12.5%), 有効13例 (81.3%), 無効1例 (6.2%) で有効率は93.8%であった。 副作用として投与前に肝機能障害を有した1例にGOT, GPTの一時的上昇を認めたが, 投与中止後4日目に正常値となった。その他には重篤な副作用は認めなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_1091