結腸Segmental Hypoganglionosisの1手術例

症例は,70歳代男性.主訴は,腹部膨満と便秘.腹部X線,CT検査で右側結腸に多量の便の貯留と著明な腸管の拡張が認められた.注腸検査では脾彎曲から口側の結腸の拡張を認めた.大腸内視鏡では粘膜面に異常所見を認めず,器質的な狭窄を生じる病変を認めなかった.腸管通過時間検査では,下行結腸手前まではマーカーが遅滞なく流れることが確認され,下行結腸での通過障害が考えられた.保存的加療で改善がないため,結腸亜全摘術を施行したところ,術後は排便状態が良好となり症状が改善した.病理検索では下行結腸で神経叢の数,神経節細胞数がともに減少しSegmental Hypoganglionosis(SH)と診断し,これが...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 263 - 268
Main Authors 矢野, 匡亮, 堤, 修, 小池, 貴志, 坪本, 貴司, 倉持, 純一, 指山, 浩志, 浜畑, 幸弘, 辻仲, 康伸, 星野, 敏彦, 八尾, 隆史, 清水, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2013
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.66.263

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Summary:症例は,70歳代男性.主訴は,腹部膨満と便秘.腹部X線,CT検査で右側結腸に多量の便の貯留と著明な腸管の拡張が認められた.注腸検査では脾彎曲から口側の結腸の拡張を認めた.大腸内視鏡では粘膜面に異常所見を認めず,器質的な狭窄を生じる病変を認めなかった.腸管通過時間検査では,下行結腸手前まではマーカーが遅滞なく流れることが確認され,下行結腸での通過障害が考えられた.保存的加療で改善がないため,結腸亜全摘術を施行したところ,術後は排便状態が良好となり症状が改善した.病理検索では下行結腸で神経叢の数,神経節細胞数がともに減少しSegmental Hypoganglionosis(SH)と診断し,これが通過障害の原因と思われた.SHは非常にまれな病態であるが,機能性狭窄部の結腸切除により症状の改善が見込まれるので,保存的に改善されない症例では外科的治療も考慮すべきである.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.66.263