腸管出血性大腸菌O157の成人, 小児患者および成人保菌者の抗O157 LPS抗体価の変動

腸管出血性大腸菌 (EHEC) O157患者血清中の抗O157LPS抗体をELISA法により測定し, 病後免疫の変動を分析して, 血清学的診断における留意点を検討した.健常成人および小児のカットオフ値はIgM抗体がそれぞれ0.85, 0.40, IgG抗体が0.57, 0.39で, 年齢により大差があった.患者群においては成人は小児に比べると, 抗体価が低く陰性化するのも早いことがわかり, 成人患者においては特に採血の時期が診断上重要と考えられた.小児においては第3病日でも抗体の上昇が観察されるものもあり, また重症化している患児ほど早期からIgM抗体が高く検出されると思われた.保菌者では抗体...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 772 - 777
Main Authors 足立, 枝里子, 竹田, 多恵, 吉野, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1999
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.772

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Summary:腸管出血性大腸菌 (EHEC) O157患者血清中の抗O157LPS抗体をELISA法により測定し, 病後免疫の変動を分析して, 血清学的診断における留意点を検討した.健常成人および小児のカットオフ値はIgM抗体がそれぞれ0.85, 0.40, IgG抗体が0.57, 0.39で, 年齢により大差があった.患者群においては成人は小児に比べると, 抗体価が低く陰性化するのも早いことがわかり, 成人患者においては特に採血の時期が診断上重要と考えられた.小児においては第3病日でも抗体の上昇が観察されるものもあり, また重症化している患児ほど早期からIgM抗体が高く検出されると思われた.保菌者では抗体上昇がみられず, 診断的価値はないこともわかった.血清中の抗O157 LPS抗体を測定することは, 原因菌が特定できない患者の診断に有用ではあるが, 検査の時期を考慮することが重要である.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.772