MMSE-J(精神状態短時間検査—日本版)の妥当性と信頼性について:A preliminary report

【要旨】 Mini Mental State Examination (MMSE)(精神状態短時間検査)は最も広く使用されている認知症スクリーニング検査のひとつである。2006年、新たにMMSEの日本版(MMSE-J)(翻訳、翻案、杉下守弘、2006)を作成した。MMSE-Jの妥当性を、JADNIに参加した健常者107名、MCI 154名、AD 52名の合計313名を対象として検討した。38医療施設の認知症を専門とする医師が被験者313名を健常者、MCI(軽度認知障害患者)およびAD(アルツハイマー病患者)に分類した結果と、その後、MMSE-Jの検査を行い、MMSE-Jの得点による2分類(23...

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Published in認知神経科学 Vol. 12; no. 3+4; pp. 186 - 190
Main Authors 逸見, 功, 杉下, 守弘, JADNI研究
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 認知神経科学会 2010
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ISSN1344-4298
1884-510X
DOI10.11253/ninchishinkeikagaku.12.186

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Summary:【要旨】 Mini Mental State Examination (MMSE)(精神状態短時間検査)は最も広く使用されている認知症スクリーニング検査のひとつである。2006年、新たにMMSEの日本版(MMSE-J)(翻訳、翻案、杉下守弘、2006)を作成した。MMSE-Jの妥当性を、JADNIに参加した健常者107名、MCI 154名、AD 52名の合計313名を対象として検討した。38医療施設の認知症を専門とする医師が被験者313名を健常者、MCI(軽度認知障害患者)およびAD(アルツハイマー病患者)に分類した結果と、その後、MMSE-Jの検査を行い、MMSE-Jの得点による2分類(23点以下を認知症の疑いありとし、24点以上を認知症の疑いとして2群を作る分類)を比較して、予測的妥当性を検討した。100-7版の予測的妥当性は、感度0.86、特異度0.89であった。逆唱版の予測的妥当性は、感度0.88、特異度0.94であった。  MMSE-Jのスクリーニング時の検査成績と、6カ月後の再検査成績のある、142名(健常者71名、MCI 47名、AD 24名)について、MMSE-Jのスクリーニング時の検査成績と、6カ月後の再検査成績の相関係数を算出した。相関係数は、100-7版で0.81、逆唱版で0.77であった。JADNIおよびADNIがおこなっている4つの心理テスト(MMSE、CDR、Logical MemoryおよびGDS)をもとにした分類(健常者、MCI、ADの3群に分類。健常者とMCIをまとめて1群とし、ADを1群として2群とする。)とMMSE-Jの得点による2分類(23点以下を認知症の疑いありとし、24点以上を認知症の疑いとして2群を作る。)を比較し、予測的妥当性を検討した。100-7版の予測的妥当性は、感度0.83、特異度0.92であった。逆唱版の予測的妥当性は、感度0.83、特異度1.00であった。信頼性を検討するため、MMSE-Jの内部一貫性をみるため、アルファー係数を計算した。100-7版0.58、逆唱版0.47であった。100-7版と逆唱版の相関係数は高く、スクリーニング時に0.89であり、6か月後の再検査時には0.92であった。以上のデータはMMSE-Jが認知症のスクリーニング検査として十分に使用可能であることを示している。
ISSN:1344-4298
1884-510X
DOI:10.11253/ninchishinkeikagaku.12.186