若年性特発性関節炎患者の移行期ケアにおける課題と支援

若年性特発性関節炎(JIA)患者は通常小児科で診断を受け,治療が開始されるが,移行期になると多くの場合,成人診療科に紹介される.小児科では家族がよく患者のサポートを行うが,成人診療科では患者は自立した受療行動が求められ,患者や家族,医療者の関係も変化する.そのため移行期に向けて十分準備を行わなければ,患者や家族は不安を感じ戸惑うことが多い.一方,成人診療科のリウマチ医も移行期JIA患者の診療に不安を感じる場合も少なくなく,その理由としては,知識や経験の不足,患者の受け入れ準備不足などがあげられた. 2017年,EULAR/PReS(欧州リウマチ学会/小児リウマチヨーロッパ協会)のメンバーが中心...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床リウマチ Vol. 36; no. 1; pp. 6 - 10
Main Authors 宮前, 多佳子, 房間, 美恵, 中原, 英子, 松井, 利浩, 森, 雅亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-8760
2189-0595
DOI10.14961/cra.36.6

Cover

More Information
Summary:若年性特発性関節炎(JIA)患者は通常小児科で診断を受け,治療が開始されるが,移行期になると多くの場合,成人診療科に紹介される.小児科では家族がよく患者のサポートを行うが,成人診療科では患者は自立した受療行動が求められ,患者や家族,医療者の関係も変化する.そのため移行期に向けて十分準備を行わなければ,患者や家族は不安を感じ戸惑うことが多い.一方,成人診療科のリウマチ医も移行期JIA患者の診療に不安を感じる場合も少なくなく,その理由としては,知識や経験の不足,患者の受け入れ準備不足などがあげられた. 2017年,EULAR/PReS(欧州リウマチ学会/小児リウマチヨーロッパ協会)のメンバーが中心となり「若年発症リウマチ性疾患患者の移行期ケアについての基準とリコメンデーション」が誌上で発表された.この要点の他,本邦でのJIA患者の移行支援の課題やとりくみを紹介する.移行期JIA患者は自立した受療ができるようになってからの成人診療科の受診が望ましいが,移行支援の継続を要する場合がある.移行期JIA患者に携わる小児科および成人診療科のメディカルスタッフは,JIAの基本的な知識の習得だけでなく,心理社会面を含めた支援の重要性を認識し,医師やその他の専門職と連携しながら移行期患者の支援を担っていくことが期待される.
ISSN:0914-8760
2189-0595
DOI:10.14961/cra.36.6