ポリフェニレン系高分子電解質における多環基の導入効果
2,5-ジクロロ-4′-フェノキシベンゾフェノン(DPBP)と1,4-ジクロロアントラキノン(1,4-DANQ)または1,5-ジクロロアントラキノン(1,5-DANQ)を0価Niカップリング重合法により共重合し,これを硫酸でスルホン化することで多環基を有する高分子電解質(S-P(PBP-co-ANQ))を得た.共重合体中へのアントラキノン(ANQ)の導入量は,仕込み量20 mol%に対して,いずれの共重合体においても5 mol%であった.S-P(PBP-co-ANQ)の数平均モル質量は5–7万程度,熱重量減少開始温度は約220°Cであり,燃料電池用電解質膜への応用に十分な高分子量体と耐熱性が得...
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Published in | 高分子論文集 Vol. 70; no. 1; pp. 16 - 22 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 高分子学会
2013
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ISSN | 0386-2186 1881-5685 |
DOI | 10.1295/koron.70.16 |
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Summary: | 2,5-ジクロロ-4′-フェノキシベンゾフェノン(DPBP)と1,4-ジクロロアントラキノン(1,4-DANQ)または1,5-ジクロロアントラキノン(1,5-DANQ)を0価Niカップリング重合法により共重合し,これを硫酸でスルホン化することで多環基を有する高分子電解質(S-P(PBP-co-ANQ))を得た.共重合体中へのアントラキノン(ANQ)の導入量は,仕込み量20 mol%に対して,いずれの共重合体においても5 mol%であった.S-P(PBP-co-ANQ)の数平均モル質量は5–7万程度,熱重量減少開始温度は約220°Cであり,燃料電池用電解質膜への応用に十分な高分子量体と耐熱性が得られた.S-P(PBP-co-1,5ANQ)は,S-P(PBP-co-1,4ANQ)よりも優れた寸法安定性とプロトン伝導性を示した.さらに,燃料電池発電試験において,S-P(PBP-co-1,5ANQ)はNafion®112膜と同等の特性を示し,80°C,100%RHにおいて最大電流密度2200 mA cm-1,最大出力密度800 mW cm-2に至った. |
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ISSN: | 0386-2186 1881-5685 |
DOI: | 10.1295/koron.70.16 |