キサンタンガム-ガラクトマンナン混合系のゲル化機構

多糖類であるβ-1, 4-D-マンノース骨格にα-1, 6-D-ガラクトース残基を側鎖としてもつガラクトマンナンと, セルロース骨格に3糖よりなる側鎖をもつキサンタンガムのそれぞれの溶液物性およびそれらを混合して得られるゲルの構造を, 小角X線散乱法と1H NMRを用いて観察した. どちらの測定結果も混合して得られるゲルから得られるスペクトルは, それぞれの単独系からのスペクトルの重ね合わせでほぼ表せることが明らかとなった. これは新たに異種多糖間で架橋ドメインとなる会合組織は形成されなかったことを示唆する. したがって溶液中では棒状となったキサンタンガムにガラクトマンナンが共存することによっ...

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Published in高分子論文集 Vol. 55; no. 10; pp. 644 - 652
Main Authors 浦川, 宏, 安永, 秀計, 湯口, 宜明, 梶原, 莞爾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 1998
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.55.644

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Summary:多糖類であるβ-1, 4-D-マンノース骨格にα-1, 6-D-ガラクトース残基を側鎖としてもつガラクトマンナンと, セルロース骨格に3糖よりなる側鎖をもつキサンタンガムのそれぞれの溶液物性およびそれらを混合して得られるゲルの構造を, 小角X線散乱法と1H NMRを用いて観察した. どちらの測定結果も混合して得られるゲルから得られるスペクトルは, それぞれの単独系からのスペクトルの重ね合わせでほぼ表せることが明らかとなった. これは新たに異種多糖間で架橋ドメインとなる会合組織は形成されなかったことを示唆する. したがって溶液中では棒状となったキサンタンガムにガラクトマンナンが共存することによって, 糖鎖の運動性が部分的に束縛されることによってゲルを形成すると推察された.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.55.644