肝嚢胞腺癌の1例

症例は63歳,女性.腹部超音波検査にて肝外側区域に隔壁を伴う径21mm大の嚢胞が指摘され,定期的に経過観察していた. 17カ月後の超音波検査にて,嚢胞は径43×25mm大に増大し,嚢胞内に充実性病変を認めた.腹部超音波検査,腹部CT, MRI, 血管造影検査にて肝嚢胞腺癌と診断された.手術は肝外側区域切除術,胆嚢摘出術が施行された.摘出標本では,腫瘍は境界明瞭な多房性嚢胞性病変で,内部は多房性褐色粘液で満たされており,一部に内腔方向に発育する白色調の乳頭状病変を認めた.病理組織検査では,嚢胞壁は円柱上皮で構成された肝嚢胞腺癌で,嚢胞内腔の乳頭状病変は構造異型,核異型を認め肝嚢胞腺癌と診断された...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 10; pp. 2529 - 2534
Main Authors 深水, 康吉, 岩永, 真一, 城崎, 洋, 山本, 純也, 渕野, 泰秀, 石橋, 由紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2529

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Summary:症例は63歳,女性.腹部超音波検査にて肝外側区域に隔壁を伴う径21mm大の嚢胞が指摘され,定期的に経過観察していた. 17カ月後の超音波検査にて,嚢胞は径43×25mm大に増大し,嚢胞内に充実性病変を認めた.腹部超音波検査,腹部CT, MRI, 血管造影検査にて肝嚢胞腺癌と診断された.手術は肝外側区域切除術,胆嚢摘出術が施行された.摘出標本では,腫瘍は境界明瞭な多房性嚢胞性病変で,内部は多房性褐色粘液で満たされており,一部に内腔方向に発育する白色調の乳頭状病変を認めた.病理組織検査では,嚢胞壁は円柱上皮で構成された肝嚢胞腺癌で,嚢胞内腔の乳頭状病変は構造異型,核異型を認め肝嚢胞腺癌と診断された.肝嚢胞の経過観察中,画像検査にて肝嚢胞腺癌と診断し嚢胞完全切除を行った肝嚢胞腺癌の1例を経験したので臨床病理学的検討に文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2529