S-1108の胆汁中移行, 胆嚢組織内移行に関する検討及び外科的感染症の治療経験
新しいエステル型経口セフェム系抗生物質S-1108の胆汁中濃度, 胆嚢組織内濃度を測定し, 本剤の胆道感染症治療における有用性について検討した。また胆道感染症を重点に11例にS-1108にて加療, その臨床効果及び副作用について観察した。 胆汁中移行, 胆嚢組織内移行に関しては, 術前にS-1108を200mg経口投与し, その後平均3, 2時間後の胆嚢摘出術時に胆嚢組織, 胆嚢胆汁, 胆管胆汁, 末梢血液を採取し各々のS-1108抗菌活性物質であるS-1006濃度をBioassay法にて測定検討した。胆石症14例, 他疾患6例で, 平均年齢は65.6歳であった。 S-1006の胆嚢胆汁中濃度...
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| Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 41; no. Supplement1; pp. 540 - 546 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1993
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
| DOI | 10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement1_540 |
Cover
| Summary: | 新しいエステル型経口セフェム系抗生物質S-1108の胆汁中濃度, 胆嚢組織内濃度を測定し, 本剤の胆道感染症治療における有用性について検討した。また胆道感染症を重点に11例にS-1108にて加療, その臨床効果及び副作用について観察した。 胆汁中移行, 胆嚢組織内移行に関しては, 術前にS-1108を200mg経口投与し, その後平均3, 2時間後の胆嚢摘出術時に胆嚢組織, 胆嚢胆汁, 胆管胆汁, 末梢血液を採取し各々のS-1108抗菌活性物質であるS-1006濃度をBioassay法にて測定検討した。胆石症14例, 他疾患6例で, 平均年齢は65.6歳であった。 S-1006の胆嚢胆汁中濃度は平均2, 4±6.4μg/ml (0.01~25.1μg/ml), 胆管胆汁中濃度は平均4-3±4.2μg/ml (0.15~15.7μg/ml), 胆嚢組織内濃度は平均0.5±0.5μg/ml (0.05~1.98μg/ml), 血清濃度は平均0.5±0.3μg/ml (0.02~1.04μg/ml) で, 良好な胆汁中, 胆嚢組織内移行を示し, 体内動態の面からは胆道感染症治療に有用な薬剤と考えられた。 急性胆管炎症例4例を含む外科的感染症11例にS-1108にて加療した。投与量は11例全例が100mg×3/dayで, 投与期間は6~14, 日で, 総投与量は1.8~4.2gであった。起因菌を測定し得た9例中7例が細菌消失, 2例が減少と, その効果は優れていた。11例全例に臨床検査値の異常も含めて副作用は認められず, 効果判定では著効2例, 有効9例で, 無効例はなく, 有用な抗生物質と考えられた。 |
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| ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
| DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement1_540 |