噴門側胃切除術症例に対する夜間pHモニタリングの経験

噴切を行った胃癌症例を対象として,術後3週目に行った夜間pH測定と術後6カ月の愁訴,内視鏡所見を比較した.再建は食道残胃吻合で, 5例は残胃前壁に吻合し,うち4例は胃壁で食道壁全周を吊り上げ縫合した(全周吊り上げ群). 1例は左側のみ固定し, His角形成とした.残る1例は残胃断端小彎側に吻合した.全周吊り上げ群4例は残胃内の平均pHがそれぞれ3.50, 1.24, 1.32, 7.56であり,食道内のpHは5.63, 2.87, 6.21, 6.95であった. His角形成例は残胃内pHが7.36,食道内pHが6.91で,断端吻合例は残胃内pHが7.69,食道内のpHは8.04であった.全周...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 10; pp. 2564 - 2567
Main Authors 深尾, 立, 井坂, 直秀, 足立, 信也, 丸山, 常彦, 稲川, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.1998
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.2564

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Summary:噴切を行った胃癌症例を対象として,術後3週目に行った夜間pH測定と術後6カ月の愁訴,内視鏡所見を比較した.再建は食道残胃吻合で, 5例は残胃前壁に吻合し,うち4例は胃壁で食道壁全周を吊り上げ縫合した(全周吊り上げ群). 1例は左側のみ固定し, His角形成とした.残る1例は残胃断端小彎側に吻合した.全周吊り上げ群4例は残胃内の平均pHがそれぞれ3.50, 1.24, 1.32, 7.56であり,食道内のpHは5.63, 2.87, 6.21, 6.95であった. His角形成例は残胃内pHが7.36,食道内pHが6.91で,断端吻合例は残胃内pHが7.69,食道内のpHは8.04であった.全周吊り上げ群の3例が胸やけを訴えず,1週間に1度以上胸やけを訴えた症例の食道pHは強い酸性とアルカリ性であった.術後早期のpH測定は術後長期の愁訴をある程度予測することが可能であり,また個々の状態に適した治療法を選択する上で重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2564