TE-031の基礎的・臨床的検討

TE-031はエリスロマイシンから半合成されたマクロライド系抗生物質である。吸収が良いために血中濃度・組織内濃度が高いことをその特徴とする。第1相試験で白血球, 血小板, ヘモグロビンの減少が各々若干名でみられたため, コロニー法によるクロナールアッセイでヒト造血幹細胞に対するTE-031の影響をみた。その結果, TE-031は穎粒球系, 巨核球系, 赤芽球系幹細胞および混合コロニー形成幹細胞を抑制した。対照としたエリスロマイシンは後期赤芽球系幹細胞 (CFU-E) のみを抑制した。臨床成績では1例でヘモグロビンが減少した。これらのことは, TE-031が造血幹細胞を抑制して血球減少症を引き起...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 36; no. Supplement3; pp. 594 - 599
Main Authors 深田, 智子, 片平, 潤一, 熊田, 徹平, 清水, 喜八郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1988
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement3_594

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Summary:TE-031はエリスロマイシンから半合成されたマクロライド系抗生物質である。吸収が良いために血中濃度・組織内濃度が高いことをその特徴とする。第1相試験で白血球, 血小板, ヘモグロビンの減少が各々若干名でみられたため, コロニー法によるクロナールアッセイでヒト造血幹細胞に対するTE-031の影響をみた。その結果, TE-031は穎粒球系, 巨核球系, 赤芽球系幹細胞および混合コロニー形成幹細胞を抑制した。対照としたエリスロマイシンは後期赤芽球系幹細胞 (CFU-E) のみを抑制した。臨床成績では1例でヘモグロビンが減少した。これらのことは, TE-031が造血幹細胞を抑制して血球減少症を引き起こす可能性を示唆するものと思われる。呼吸器感染症に対する臨床効果では有効率64%で有用な新薬と思われた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement3_594