高AFP血症で発見された胆嚢癌の1例

患者は59歳,女性.健診にて高alpha-fetoprotein(以下AFP)血症を指摘され,精査目的に受診.血清AFP値120ng/mlと高値を認めた.腹部US, 腹部CT検査では,胆嚢内に内腔をほぼ充満する病変を認めたが,胆嚢壁の壁外性の変化は認められなかった.腹部MRでも同様の所見であった.腹部血管造影検査でも異常所見は認められなかった.高AFP血症を伴った胆嚢腫瘍の診断で手術を行った.胆嚢内には底部に4cm×3.5cmの2型の腫瘍病変を認め,腫瘍より連続する小結石を含む軟らかい充実性物質が充満していた.腫瘍の術中迅速病理にて胆嚢癌と判明したため,追加切除を行った.切除標本の免疫染色でA...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 2448 - 2452
Main Authors 木村, 次郎, 完山, 泰章, 横井, 一樹, 森, 俊明, 鈴木, 祐一, 藤吉, 行雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2448

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Summary:患者は59歳,女性.健診にて高alpha-fetoprotein(以下AFP)血症を指摘され,精査目的に受診.血清AFP値120ng/mlと高値を認めた.腹部US, 腹部CT検査では,胆嚢内に内腔をほぼ充満する病変を認めたが,胆嚢壁の壁外性の変化は認められなかった.腹部MRでも同様の所見であった.腹部血管造影検査でも異常所見は認められなかった.高AFP血症を伴った胆嚢腫瘍の診断で手術を行った.胆嚢内には底部に4cm×3.5cmの2型の腫瘍病変を認め,腫瘍より連続する小結石を含む軟らかい充実性物質が充満していた.腫瘍の術中迅速病理にて胆嚢癌と判明したため,追加切除を行った.切除標本の免疫染色でAFP強陽性であった.術後血清AFP値は速やかに正常化し,現在も再発所見を認めず健在である.高AFP血症を示す胆嚢癌は稀であり,その形態より術前診断に苦慮した1例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2448