腹腔鏡下大網被覆術後2期的に根治手術を施行した早期胃癌穿孔の1例

症例は38歳,男性.上腹部痛を主訴に当院内科を受診した.受診時,腹部全体の筋性防御,胸部単純写真上のfree airを認めたため,消化管穿孔の診断にて入院となった. CT上のfree air, 腹水,および上部消化管内視鏡で胃体上部前壁に潰瘍病変が認められたため,胃穿孔と診断し緊急的腹腔鏡下大網被覆術を施行した.術後経過は良好であったが,術前に行った内視鏡検査の際の潰瘍穿孔部近傍の生検にて低分化型腺癌の診断を得たため,初回術後20日目に胃全摘術+D2郭清を施行した.手術時,創下への癒着はなく,初回の腹腔鏡下手術が有効であった.病理組織学的には1.5×1.5cm大,深達度sm2の早期胃癌の診断で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 10; pp. 2426 - 2430
Main Authors 近藤, 哲, 北城, 秀司, 奥芝, 俊一, 加藤, 紘之, 川瀬, 寛, 海老原, 裕磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2426

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Summary:症例は38歳,男性.上腹部痛を主訴に当院内科を受診した.受診時,腹部全体の筋性防御,胸部単純写真上のfree airを認めたため,消化管穿孔の診断にて入院となった. CT上のfree air, 腹水,および上部消化管内視鏡で胃体上部前壁に潰瘍病変が認められたため,胃穿孔と診断し緊急的腹腔鏡下大網被覆術を施行した.術後経過は良好であったが,術前に行った内視鏡検査の際の潰瘍穿孔部近傍の生検にて低分化型腺癌の診断を得たため,初回術後20日目に胃全摘術+D2郭清を施行した.手術時,創下への癒着はなく,初回の腹腔鏡下手術が有効であった.病理組織学的には1.5×1.5cm大,深達度sm2の早期胃癌の診断であったが, U1-IVの潰瘍底部には癌細胞は認めず,潰瘍穿孔を伴った早期胃癌と診断した.術後経過は良好であり,術後9カ月の現在再発なく外来通院中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2426