Carumonamの泌尿器科学領域における基礎的, 臨床的検討

Carumonamは単環性β-lactam系の新しい抗生物質で, ほとんどのグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示すが, グラム陽性球菌には弱いことが特徴である。 今回本剤を使用する機会をえたので, 基礎的検討として4名の健康成人男子志願者に本剤とcefoperazone (CPZ) をクロスオーバー法で191時間点滴静注投与し, 8時間までの血中濃度推移と尿中回収率をbioassayとHPLC法によって測定し, 比較検討した。 臨床的検討としては主として慢性複雑性尿路感染症患者に本剤を191日2回点滴静注で投与し, 本剤の有効性, 有用性および安全性について検討した。 その結果吸収・排泄試験では,...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 35; no. Supplement2; pp. 656 - 667
Main Authors 宮北, 英司, 勝岡, 洋治, 木下, 英親, 川嶋, 敏文, 中島, 登, 長田, 恵弘, 大越, 正秋, 谷川, 克巳, 森口, 隆一郎, 岡田, 敬司, 松下, 一男, 河村, 信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1987
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.35.Supplement2_656

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Summary:Carumonamは単環性β-lactam系の新しい抗生物質で, ほとんどのグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示すが, グラム陽性球菌には弱いことが特徴である。 今回本剤を使用する機会をえたので, 基礎的検討として4名の健康成人男子志願者に本剤とcefoperazone (CPZ) をクロスオーバー法で191時間点滴静注投与し, 8時間までの血中濃度推移と尿中回収率をbioassayとHPLC法によって測定し, 比較検討した。 臨床的検討としては主として慢性複雑性尿路感染症患者に本剤を191日2回点滴静注で投与し, 本剤の有効性, 有用性および安全性について検討した。 その結果吸収・排泄試験では, bioassayとHPLCによる測定値でそれほど大きな差はなく, 本剤の最高血中濃度は (以下bioassayの結果) 70.3μg/ml, CPZでは141μg/mlで, 血中半減時間は本剤で1.23時間, CPZで1.90時間であった。 尿中回収率は8時間までで本剤83.0%, CPZ20.7%であった。 臨床的検討では慢性複雑性尿路感染症14例中UTI薬効評価基準に適合する12例では著効7, 有効3, 無効2で83%の有効率であった。有効率が高かったのは複数菌による感染症がなかったことが大きな要因と考えられる。一方細菌学的効果はPseudomonas aeru-ginosa5株のうち2株が存続したが, 12株中10株83%が除菌された。 その他急性単純性膀胱炎2例に著効, 急性前立腺炎2例と急性副睾丸炎1例にはいずれも有効と判定された。本剤による副作用はなく, 臨床検査値の変動で1例に末梢白血球数の減少が認められたが, 継続投与可能であった。 以上のことから本剤は尿路感染症治療に対して, 対象を選べば有用な薬剤と考えられた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.35.Supplement2_656