TE-031の臨床的検討

TE-031は大正製薬株式会社で新規に開発された14員環マクロライド系抗生物質で, 6位の水酸基をメトキシ基に置換することにより, 従来のこの系統の抗生物質の弱点である酸に対する不安定性が改善され, 肺組織への良好な移行, 尿中への移行も良好となった。 今回, TE-031を呼吸器感染症15例に投与し, その臨床効果と副作用などについて検討した。 対象症例は男性8例, 女性7例, 年齢分布は56歳より78歳 (平均年齢67.6歳) におよび, 疾患の内訳は急性気管支炎9例, 感染を伴った気管支拡張症, 慢性気管支炎各3例である。 投与方法は, 1回150mg, 1日2回が7例, 200mg,...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 36; no. Supplement3; pp. 630 - 634
Main Authors 渡辺, 一功, 池本, 秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1988
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement3_630

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Summary:TE-031は大正製薬株式会社で新規に開発された14員環マクロライド系抗生物質で, 6位の水酸基をメトキシ基に置換することにより, 従来のこの系統の抗生物質の弱点である酸に対する不安定性が改善され, 肺組織への良好な移行, 尿中への移行も良好となった。 今回, TE-031を呼吸器感染症15例に投与し, その臨床効果と副作用などについて検討した。 対象症例は男性8例, 女性7例, 年齢分布は56歳より78歳 (平均年齢67.6歳) におよび, 疾患の内訳は急性気管支炎9例, 感染を伴った気管支拡張症, 慢性気管支炎各3例である。 投与方法は, 1回150mg, 1日2回が7例, 200mg, 1日2回が7例, 1回300mg, 1日2回が1例であり, 没与日数は最短7日, 最長14日 (平均投与日数9.8日), 総投与量は2.1gより5.6g (平均総投与量3.5g) である。臨床効果は有効11例, 無効4例で, 有効率は, 73.3%であった。疾患別では急性気管支炎9例中8例有効, 感染を伴った気管支拡張症3例中有効1例, 無効2例, 慢性気管支炎3例中有効2例, 無効1例である。細菌学的検討は10例に喀痰培養を試み, 起炎菌として3例からインフルエンザ菌, 2例に緑膿菌, 1例に肺炎桿菌, 1例に黄色ブドウ球菌を分離したが, 本剤没与でインフルエンザ菌1例, 黄色ブドウ球菌1例が除菌できたのみであった。 副作用としての発疹, 発熱, 嘔気, 嘔吐, 下痢などは全例認めず, また臨床検査値も本剤投与前後で, 特に異常値は認めなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement3_630