胆嚢原発内分泌細胞癌の1切除例

胆嚢原発の内分泌細胞腫瘍は極めて稀で,その予後も不良といわれている.今回,肝右3区域切除を行うも,早期に再発をきたした胆嚢原発内分泌細胞癌の1例を経験した. 症例は59歳,女性.肝機能障害と腹部USで肝腫瘤を指摘され入院となった.腹部US, CTでは肝右葉に多発する巨大な腫瘤とS4にも5cm大の腫瘤を認めた.胆嚢は壁が全周性に肥厚しており,結石もみられた.胆嚢癌の肝転移と考え,右3区域切除術を行った.切除標本の割面では腫瘍は膨隆していたが明らかな皮膜はみられず,黄色部と白色部が混在していた.病理検査では胆嚢および肝の腫瘍は共に壊死,線維化を伴った悪性細胞がみられ,免疫組織染色ではNSE染色とc...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 12; pp. 2918 - 2922
Main Authors 石川, 正志, 石倉, 久嗣, 藤井, 義幸, 阪田, 章聖, 一森, 敏弘, 沖津, 宏, 湯浅, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2918

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Summary:胆嚢原発の内分泌細胞腫瘍は極めて稀で,その予後も不良といわれている.今回,肝右3区域切除を行うも,早期に再発をきたした胆嚢原発内分泌細胞癌の1例を経験した. 症例は59歳,女性.肝機能障害と腹部USで肝腫瘤を指摘され入院となった.腹部US, CTでは肝右葉に多発する巨大な腫瘤とS4にも5cm大の腫瘤を認めた.胆嚢は壁が全周性に肥厚しており,結石もみられた.胆嚢癌の肝転移と考え,右3区域切除術を行った.切除標本の割面では腫瘍は膨隆していたが明らかな皮膜はみられず,黄色部と白色部が混在していた.病理検査では胆嚢および肝の腫瘍は共に壊死,線維化を伴った悪性細胞がみられ,免疫組織染色ではNSE染色とchromogranin A染色で陽性であり,胆嚢原発内分泌細胞癌と診断した.術後2カ月半後のCTで残肝に腫瘤が多発しており, CPT-11, CDDPの肝動注療法を行うも1カ月後に永眠した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2918