無症状で発見された原発性気管支動脈蔓状血管腫の1例

症例は74歳,女性.肝嚢胞の精査目的にて受診した.身体所見や血液検査では異常所見は認めなかった.食道胃透視にて食道に壁外圧排を認め,胸部CTにて瘤形成を伴う拡張した気管支動脈によるものと判明した.気管支・肺に炎症性変化は認めなかった.気管支動脈造影では,気管支動脈が著しく屈曲・蛇行・拡張し,複数の動脈瘤を形成して肺動脈に短絡していた.原発性気管支動脈蔓状血管腫は稀な疾患で,本邦での報告は12例のみである.いずれも発見動機は喀血であるが,本例のように無症状で発見され,しかも瘤形成を伴う例は他になく,極めて稀であると思われる.成因としては,先天的に血管の形成異常があり,経過とともに血管壁の脆弱な部...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 88; no. 11; pp. 2240 - 2241
Main Authors 白神, 悟志, 窪田, 彰一, 堀口, 孝泰, 大迫, 文麿, 河野, 光志, 西尾, 宏之, 奥泉, 譲, 赤井, 雅也, 若林, 聖伸, 加藤, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.11.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.88.2240

Cover

More Information
Summary:症例は74歳,女性.肝嚢胞の精査目的にて受診した.身体所見や血液検査では異常所見は認めなかった.食道胃透視にて食道に壁外圧排を認め,胸部CTにて瘤形成を伴う拡張した気管支動脈によるものと判明した.気管支・肺に炎症性変化は認めなかった.気管支動脈造影では,気管支動脈が著しく屈曲・蛇行・拡張し,複数の動脈瘤を形成して肺動脈に短絡していた.原発性気管支動脈蔓状血管腫は稀な疾患で,本邦での報告は12例のみである.いずれも発見動機は喀血であるが,本例のように無症状で発見され,しかも瘤形成を伴う例は他になく,極めて稀であると思われる.成因としては,先天的に血管の形成異常があり,経過とともに血管壁の脆弱な部分が瘤になったものと推察される.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.88.2240