内翻Meckel憩室による成人回腸腸重積症の1例

症例は35歳の男性.上腹部痛と下血を主訴に受診.腹部単純X線でniveau象,腹部超音波検査で中央に脂肪腫を伴うtarget signを認め回腸の腸重積が疑われた. MRIで2.5 cm大の脂肪腫が先進した回腸の腸重積を認め,動画像では病変部に蠕動を認め腸虚血の所見はなかった.腸閉塞の改善がみられないため腹腔鏡補助下に開腹,回腸末端から約120cm口側に回腸回腸の重積を認め回腸部分切除を施行した.先進部は脂肪腫様の腫瘤を先端とする直径2.5cm,長さ10cmのポリープ様を呈していた.病理検査で先進部は真性憩室で,頂部に異所性胃粘膜を認めたことから,内翻したMeckel憩室と診断した.脂肪腫と考...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 2678 - 2682
Main Authors 鈴木, 俊之, 幕内, 博康, 田中, 彰, 三好, 玲, 貞廣, 荘太郎, 石川, 健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2004
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2678

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Summary:症例は35歳の男性.上腹部痛と下血を主訴に受診.腹部単純X線でniveau象,腹部超音波検査で中央に脂肪腫を伴うtarget signを認め回腸の腸重積が疑われた. MRIで2.5 cm大の脂肪腫が先進した回腸の腸重積を認め,動画像では病変部に蠕動を認め腸虚血の所見はなかった.腸閉塞の改善がみられないため腹腔鏡補助下に開腹,回腸末端から約120cm口側に回腸回腸の重積を認め回腸部分切除を施行した.先進部は脂肪腫様の腫瘤を先端とする直径2.5cm,長さ10cmのポリープ様を呈していた.病理検査で先進部は真性憩室で,頂部に異所性胃粘膜を認めたことから,内翻したMeckel憩室と診断した.脂肪腫と考えられた先進部の腫瘤は内翻漿膜下層に連続した脂肪組織であった. Meckel憩室の内翻による成人の腸重積症は比較的稀な疾患で術前診断は困難である.若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2678