尿管S状結腸吻合術37年後に発生したS状結腸癌の1例

尿管S状結腸吻合術37年後にS状結腸癌を発生した1例を経験した.症例は69歳女性で, 32歳時,子宮癌にて子宮全摘術と尿管S状結腸吻合術を受けた.術後31年目から左腎孟腎炎が頻発し, 32年目に左腎摘を受けたが,尿管結腸吻合部はそのまま放置された.その5年後にS状結腸癌が尿管吻合部近くに発生した.遺残尿管を含むS状結腸切除D3を施行した.病理学的には深達度mの高分化型腺癌でリンパ節転移はなかった.腫瘍は尿管吻合部肛門側直上から発生し,尿管と連続性はなかった.尿管腸管吻合術後の患者は大腸癌の高度危険群として長期間の腸管精査が必要であり,尿管腸管吻合部は再手術時には全摘することが肝要である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 10; pp. 2700 - 2702
Main Authors 山内, 励, 井ノ上, 博法, 下薗, 孝司, 上田, 祐滋, 豊田, 清一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.2700

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Summary:尿管S状結腸吻合術37年後にS状結腸癌を発生した1例を経験した.症例は69歳女性で, 32歳時,子宮癌にて子宮全摘術と尿管S状結腸吻合術を受けた.術後31年目から左腎孟腎炎が頻発し, 32年目に左腎摘を受けたが,尿管結腸吻合部はそのまま放置された.その5年後にS状結腸癌が尿管吻合部近くに発生した.遺残尿管を含むS状結腸切除D3を施行した.病理学的には深達度mの高分化型腺癌でリンパ節転移はなかった.腫瘍は尿管吻合部肛門側直上から発生し,尿管と連続性はなかった.尿管腸管吻合術後の患者は大腸癌の高度危険群として長期間の腸管精査が必要であり,尿管腸管吻合部は再手術時には全摘することが肝要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.2700