巨大肝転移を伴ったPIVKA-II, AFP産生進行胃癌の1例
AFP産生胃癌は高率に肝転移を有する予後不良の疾患であるが,さらにPIVKA-II産生胃癌は1992年の報告以来,現在まで十数例と非常に稀な,予後不良の疾患である.今回われわれは巨大肝転移を伴った血清PIVKA-II, AFP高値を呈する進行胃癌症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は57歳,女性.平成16年7月より右季肋部痛出現,精査にて胃食道接合部にかかる2型胃腫瘍と肝右葉全体を占める巨大肝腫瘍を認めた.血液検査にて血清PIVKA-II, AFP共に高値を示し,同時性肝転移を伴ったPIVKA-II, AFP産生進行胃癌疑いの診断にて,胃全摘出術および肝右三区域切除術施行.病理診断...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 2360 - 2365 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.10.2006
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.67.2360 |
Cover
Summary: | AFP産生胃癌は高率に肝転移を有する予後不良の疾患であるが,さらにPIVKA-II産生胃癌は1992年の報告以来,現在まで十数例と非常に稀な,予後不良の疾患である.今回われわれは巨大肝転移を伴った血清PIVKA-II, AFP高値を呈する進行胃癌症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は57歳,女性.平成16年7月より右季肋部痛出現,精査にて胃食道接合部にかかる2型胃腫瘍と肝右葉全体を占める巨大肝腫瘍を認めた.血液検査にて血清PIVKA-II, AFP共に高値を示し,同時性肝転移を伴ったPIVKA-II, AFP産生進行胃癌疑いの診断にて,胃全摘出術および肝右三区域切除術施行.病理診断はAFP産生胃癌, pT2(mp), ly1, v2, n1, 免疫染色にてPIVKA-IIは胃肝両病変で, AFPは胃病変で陽性を示した.術後,血清PIVKA-IIは正常値に低下し退院となった.本症例より原発のみならず肝転移巣に対しても予後改善のため積極的な切除を行うことの重要性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.67.2360 |