耳鼻咽喉科領域感染症におけるbiapenemの基礎的・臨床的検討

カルバペネム系新合成注射用抗生物質biapenem (BIPM) の有用性について基礎的ならびに臨床的に検討し, 以下の結果を得た。 1. 基礎的検討では, 本剤一回300mgを50分で点滴静脈内注射し, 上顎洞粘膜組織内濃度及び血清中濃度をbioassayにて測定した。投与後55, 105分後での上顎洞粘膜組織内濃度は, 0.68, 1.68μg/g対応する血清中濃度は4.14, 3.98μg/mlであり, 組織移行率 (血清比) は, 164, 42.2%であった。 2. 臨床的検討では, 中耳炎2例、副鼻腔炎3例, 扁桃炎4例, 扁桃周囲膿瘍5例, 急性化膿性耳下腺炎2例, 急性咽頭側索...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 42; no. Supplement4; pp. 643 - 649
Main Author 松崎, 勉他
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1994
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.42.Supplement4_643

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Summary:カルバペネム系新合成注射用抗生物質biapenem (BIPM) の有用性について基礎的ならびに臨床的に検討し, 以下の結果を得た。 1. 基礎的検討では, 本剤一回300mgを50分で点滴静脈内注射し, 上顎洞粘膜組織内濃度及び血清中濃度をbioassayにて測定した。投与後55, 105分後での上顎洞粘膜組織内濃度は, 0.68, 1.68μg/g対応する血清中濃度は4.14, 3.98μg/mlであり, 組織移行率 (血清比) は, 164, 42.2%であった。 2. 臨床的検討では, 中耳炎2例、副鼻腔炎3例, 扁桃炎4例, 扁桃周囲膿瘍5例, 急性化膿性耳下腺炎2例, 急性咽頭側索炎1例, 急性喉頭蓋炎1例の合計18例に本剤一回300mgを一日2回30~60分で点滴にて静脈内投与した。臨床的効果は, 著効6例, 有効6例, やや有効4例, 無効1例, 判定不能1例で有効率は70.6%であった。細菌学的効果は, 菌消失率889%であった。 3. 本薬剤との関連性の認められた臨床検査値の異常は, GOT, GPT軽度上昇例の1例, 血小板増加の1例のみで, 副作用は発疹を1例に認めたが、すぐに消失し継続投与可能であった。 以上より, 本剤は耳鼻咽喉科領域感染症に対して極めて有用な薬剤であると思われた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.42.Supplement4_643