イレウス管が原因と考えられる腸重積の1例

症例は60歳の女性.腹痛を主訴に来院,腸閉塞の診断のもと入院となった.腹部CT検査で上行結腸部に腫瘤を認め,これによる腸閉塞と診断し,イレウス管挿入,吸引療法を施行し症状は改善した.しかし,イレウス管挿入後6日目に突然左上腹部に疼痛を訴え同部に腫瘤を触知した. CT検査を施行したところ,イレウス管留置部の腸重積と診断し同日緊急手術を施行した. Treitz靱帯より約90cmの空腸が約30cmにわたり肛門側空腸へ腸重積を起こしていた.イレウス管先端は回腸末端まで進んでおり,腸重積はその中ほどにおこっていた. Hutchinson手技にて用手整復し重積を解除し,また同時に上行結腸に癌が認められ右半...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 12; pp. 2986 - 2989
Main Authors 松村, 理史, 溝渕, 昇, 大坊, 昌史, 中井, 克也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2986

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Summary:症例は60歳の女性.腹痛を主訴に来院,腸閉塞の診断のもと入院となった.腹部CT検査で上行結腸部に腫瘤を認め,これによる腸閉塞と診断し,イレウス管挿入,吸引療法を施行し症状は改善した.しかし,イレウス管挿入後6日目に突然左上腹部に疼痛を訴え同部に腫瘤を触知した. CT検査を施行したところ,イレウス管留置部の腸重積と診断し同日緊急手術を施行した. Treitz靱帯より約90cmの空腸が約30cmにわたり肛門側空腸へ腸重積を起こしていた.イレウス管先端は回腸末端まで進んでおり,腸重積はその中ほどにおこっていた. Hutchinson手技にて用手整復し重積を解除し,また同時に上行結腸に癌が認められ右半結腸切除術を施行した.今回われわれはイレウス管が原因と考えられる腸重積の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2986