急性肝内胆汁うっ滞症における硫酸抱合型胆汁酸の動態について

急性肝内胆汁うっ滞症8名の臨床経過中に採取した血清42検体,尿11検体につき硫抱合型胆汁酸(SBA)を分析しその動態について検討した.黄疸が増強するにつれて血清SBA濃度は上昇したが,その上昇率は高度黄疸時に低下する傾向がみられ,総胆汁酸濃度に占めるSBAの比率は正常群と比較して有意に低下していた. SBAの血清濃度と1日尿中排泄量はY=0.1101X-0.7844で表わされ,強い相関関係を示した(r=0.8978). SBAの腎クリアラン値は7.4±1.6ml/分であり,黄疸の経過を通じて常に一定の傾向を示した.以上の成績から高度黄疸時においてSBAの生成は増加していない可能性が示唆された....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 28; no. 10; pp. 1348 - 1353
Main Authors 宮川, 隆敏, 大槻, 昌夫, 後藤, 由夫, 甘糟, 仁, 石井, 元康, 太田, 慎一, 鈴木, 勃志, 長倉, 敬智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.1348

Cover

More Information
Summary:急性肝内胆汁うっ滞症8名の臨床経過中に採取した血清42検体,尿11検体につき硫抱合型胆汁酸(SBA)を分析しその動態について検討した.黄疸が増強するにつれて血清SBA濃度は上昇したが,その上昇率は高度黄疸時に低下する傾向がみられ,総胆汁酸濃度に占めるSBAの比率は正常群と比較して有意に低下していた. SBAの血清濃度と1日尿中排泄量はY=0.1101X-0.7844で表わされ,強い相関関係を示した(r=0.8978). SBAの腎クリアラン値は7.4±1.6ml/分であり,黄疸の経過を通じて常に一定の傾向を示した.以上の成績から高度黄疸時においてSBAの生成は増加していない可能性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.1348