壊死・感染をきたした重症虚血肢に対する足関節部バイパスの1例

足趾壊死・感染をきたしバイパス困難と思われた重症虚血肢に対し,足関節近位部に末梢側吻合部を置くことにより,良好な下肢血流が得られリム・サルベージされた1症例を経験した.症例は60歳,男性.左第1趾壊死を主訴とし,血管造影で膝下3分枝閉塞がみられたが前脛骨動脈末梢がわずかに描出された.血管エコー検査で径が3mm程度の良好な大伏在静脈と足関節部近傍に石灰化のない前脛骨動脈の存在が確認できた.膝下膝窩-末梢前脛骨動脈バイパスを施行後,第1趾切断・デブリドメントを追加した.局所洗浄により感染をコントロールしつつ,第43病日に退院し,外来通院した. 3カ月後に創の状態が改善したため植皮を行い,生着が得ら...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 11; pp. 2747 - 2750
Main Authors 坂野, 尚, 岡, 和則, 河野, 和明, 原田, 昌和, 加藤, 智栄, 濱野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2747

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Summary:足趾壊死・感染をきたしバイパス困難と思われた重症虚血肢に対し,足関節近位部に末梢側吻合部を置くことにより,良好な下肢血流が得られリム・サルベージされた1症例を経験した.症例は60歳,男性.左第1趾壊死を主訴とし,血管造影で膝下3分枝閉塞がみられたが前脛骨動脈末梢がわずかに描出された.血管エコー検査で径が3mm程度の良好な大伏在静脈と足関節部近傍に石灰化のない前脛骨動脈の存在が確認できた.膝下膝窩-末梢前脛骨動脈バイパスを施行後,第1趾切断・デブリドメントを追加した.局所洗浄により感染をコントロールしつつ,第43病日に退院し,外来通院した. 3カ月後に創の状態が改善したため植皮を行い,生着が得られた.足趾壊死感染を伴っていても重症虚血肢に対する足関節近位部バイパスは吻合可能な動脈部位と良好な静脈グラフトがあれば,患者のQOL向上に有効で積極的に試みるべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2747