大腸癌術後に発症した非閉塞性腸管梗塞症の1例
症例は58歳,男性.上行結腸癌で手術した.第1病日の経過は良好だった.第2病日の朝から腹痛・腹部膨満あり.午後に下血を生じ,出血は少量だったが循環不全状態となった.その後呼吸不全が進行し,多臓器不全で第3病日に死亡した.剖検では回腸全域から空腸半ばにかけて壊死に陥っていた.吻合部の縫合不全や腸管の絞拒はなく,上腸問膜動静脈は開存しており血栓も認めなかった.非閉塞性腸管梗塞症(non-occlusivemesenteric infarction, NOMI)と診断した. 本症は早期診断が困難で予後不良である.開腹手術後はしばしば腹痛や腹部膨満がみられる.稀ではあるが開腹術後におき得る致命的な合併...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 12; pp. 3070 - 3075 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.12.1998
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.59.3070 |
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Summary: | 症例は58歳,男性.上行結腸癌で手術した.第1病日の経過は良好だった.第2病日の朝から腹痛・腹部膨満あり.午後に下血を生じ,出血は少量だったが循環不全状態となった.その後呼吸不全が進行し,多臓器不全で第3病日に死亡した.剖検では回腸全域から空腸半ばにかけて壊死に陥っていた.吻合部の縫合不全や腸管の絞拒はなく,上腸問膜動静脈は開存しており血栓も認めなかった.非閉塞性腸管梗塞症(non-occlusivemesenteric infarction, NOMI)と診断した. 本症は早期診断が困難で予後不良である.開腹手術後はしばしば腹痛や腹部膨満がみられる.稀ではあるが開腹術後におき得る致命的な合併症として本症を念頭におく必要がある. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.59.3070 |