泌尿器科領域におけるpanipenem/betamipronの基礎的および臨床的検討
新しい注射用カルバペネム系抗生剤panipenem/betamipron (PAPM/BP) につき, 基礎的および臨床的検討を行い, 以下の知見を得た。 1) 抗菌力: 臨床分離の9菌種グラム陽性・陰性菌全250株につき, panipenem (PAPM) のMICを測定し, 同様にimipenem (IPM), ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ) およびpiperacillin (PIPC) についても測定した。PAPMは上記菌種に対し, IPMと同等または1管劣った抗菌力を示した。 2) 体内動態: 健常成人男子5名にcross over法で本剤0...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 39; no. Supplement3; pp. 484 - 493 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1991
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Subjects | |
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ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.39.Supplement3_484 |
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Summary: | 新しい注射用カルバペネム系抗生剤panipenem/betamipron (PAPM/BP) につき, 基礎的および臨床的検討を行い, 以下の知見を得た。 1) 抗菌力: 臨床分離の9菌種グラム陽性・陰性菌全250株につき, panipenem (PAPM) のMICを測定し, 同様にimipenem (IPM), ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ) およびpiperacillin (PIPC) についても測定した。PAPMは上記菌種に対し, IPMと同等または1管劣った抗菌力を示した。 2) 体内動態: 健常成人男子5名にcross over法で本剤0.5g/0.5gおよび0.75g/0.75gを30分点滴静注し, 血中および尿中濃度を測定した。 PAPMの最高血中濃度は0.5g, 0.75gとも投与後30分で, それぞれ37.2±1.8μg/ml, 61.4±4.9μg/mlで以後漸減したが, 本剤は投与後6時間で0.23±0.03μg/ml, 0.43±0.08μg/mlの濃度を示した。6時間までの尿中回収率は0.5g投与で21.1±3.4%, 0.75g投与では19.5±3.6%であった。 Betamipron (BP) の最高平均血中濃度は0.5g投与および0.75g投与とも投与後30分で, それぞれ23.8±1.4μg/ml, 39.1±3.1μg/mlを示し, 以後速やかに減衰した。6時間までの尿中回収率は0.5g投与で91.9±5.4%, 0.75g投与では97.9±1.4%であった。 3) 腎組織移行: 4例のヒト腎組織への移行は, 本剤0.5g/0.5gの30分点滴静注で, 終了直後から105分までのPAPMの腎孟粘膜部組織内濃度が3.8~8.7μg/g, 腎髄質内濃度が1.0~14.4μg/g, 腎皮質内濃度が2, 1~18.9μg/gであった。またBPはそれぞれ8.9~26.2μg/g, 29.0~113.7μg/g, 25.7~208.5μg/gであった。 4) 複雑性尿路感染症47例に本剤0.5g/0.5gあるいは0.75g/0.75gを, 1日2回, 朝夕, 5日間点滴静注した。UTI薬効評価基準による判定では, 有効率74.4%, 除菌率91.1%であった。副作用としては, 胸痛+咽頭不快感1例, 下痢1例および発疹1例を認めたが, 休薬により症状の改善をみた。また, 臨床検査値の異常変動としてはGOT, GPTの上昇1例, GOT, 総ビリルビンの上昇1例, 好酸球の増多2例, 好酸球, 好塩基球の増多1例および骨髄球の出現1例を認めたが, いずれも軽度であり, 特別の問題にはならなかった。 以上より, PAPM/BPは尿路感染症の治療に有用な注射用抗生剤と考えられた。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.39.Supplement3_484 |