横隔神経合併切除を要した肺放線菌症の1例

症例は, 60歳,男性.主訴は血痰.持続する血痰,胸部X線異常影の精査のため当院を受診した.気管支鏡下生検の結果,器質化肺炎の診断を得た.経口抗生物質のみで,腫瘤影は縮小傾向を認めた.しかし,その後も血痰は断続的に持続し,発症後約10カ月,喀血の制御目的で手術となった.腫瘤影は上大区の縦隔側を主座として,近接した縦隔胸膜は肥厚し,横隔神経とは強固に癒着していた.そのため,上大区域切除に加えて,横隔神経合併切除を要した.迅速病理検査では悪性リンパ腫の疑いで,最終病理組織報告で,肺放線菌症と診断された.確定診断後は,約3カ月の経口ペニシリン剤の投与を行った.肺放線菌症は術前診断は困難なことが多く,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 2341 - 2345
Main Authors 桂, 浩, 中根, 茂, 中川, 勝裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2341

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Summary:症例は, 60歳,男性.主訴は血痰.持続する血痰,胸部X線異常影の精査のため当院を受診した.気管支鏡下生検の結果,器質化肺炎の診断を得た.経口抗生物質のみで,腫瘤影は縮小傾向を認めた.しかし,その後も血痰は断続的に持続し,発症後約10カ月,喀血の制御目的で手術となった.腫瘤影は上大区の縦隔側を主座として,近接した縦隔胸膜は肥厚し,横隔神経とは強固に癒着していた.そのため,上大区域切除に加えて,横隔神経合併切除を要した.迅速病理検査では悪性リンパ腫の疑いで,最終病理組織報告で,肺放線菌症と診断された.確定診断後は,約3カ月の経口ペニシリン剤の投与を行った.肺放線菌症は術前診断は困難なことが多く,血痰,喀血を反復する肺炎様症状を伴った症例に対しては,本症も念頭においた早期の外科的アプローチが望ましい.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2341