肝疾患患者における肝内圧測定の臨床的意義

23Gテルモカテラン針を穿刺針とし圧トランスデューサーで,外来患者32例を含め120症例に対し肝内圧の測定を行なった.正常者,急性肝炎,慢性遷延性肝炎,特発性門脈圧亢進症の間には,有意差はなかったが,慢性遷延性肝炎から慢性活動性肝炎さらに肝硬変と病態が進行するほど肝内圧は有意に上昇していた.特発性門脈圧亢進症は肝硬変と比べ有意に低値を示した.経皮経肝的門脈カテーテル法と肝静脈カテーテル法施行時に同時に肝内圧の測定を行なったところ,肝内圧は門脈圧,閉塞肝静脈圧,補正閉塞肝静脈圧,門脈圧一自由肝静脈圧,いずれとも良い相関を示したが,補正閉塞肝静脈圧と最も良い一次相関(r=0.90)を認めた.肝内圧...

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Published in肝臓 Vol. 26; no. 11; pp. 1478 - 1486
Main Authors 寺林, 秀隆, 斉藤, 正明, 野村, 文夫, 飯田, 真司, 奥田, 邦雄, 斉藤, 正之, 檜山, 義明, 大西, 久仁彦, 早坂, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1985
Subjects
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.26.1478

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Summary:23Gテルモカテラン針を穿刺針とし圧トランスデューサーで,外来患者32例を含め120症例に対し肝内圧の測定を行なった.正常者,急性肝炎,慢性遷延性肝炎,特発性門脈圧亢進症の間には,有意差はなかったが,慢性遷延性肝炎から慢性活動性肝炎さらに肝硬変と病態が進行するほど肝内圧は有意に上昇していた.特発性門脈圧亢進症は肝硬変と比べ有意に低値を示した.経皮経肝的門脈カテーテル法と肝静脈カテーテル法施行時に同時に肝内圧の測定を行なったところ,肝内圧は門脈圧,閉塞肝静脈圧,補正閉塞肝静脈圧,門脈圧一自由肝静脈圧,いずれとも良い相関を示したが,補正閉塞肝静脈圧と最も良い一次相関(r=0.90)を認めた.肝内圧の測定は,外来でも安全かつ簡単に繰り返しできることから,肝疾患の病態把握や経過観察に有用な検査方法であると考える.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.26.1478